研究概要 |
1.MIG-24発現解析;MIG-24をDTCで恒常的に発現させたところDTC overshoot異常が見られた。このことからmig-39がmig-24の発現を負に制御していると考えられる。そこで野生株とmig-39変異体間でmig-24の発現に差が見られるか否かを、レーザー顕微鏡と解析ソフトを用いて計測した。野生株と変異体に、蛍光タンパクのVenusをmig-24のプロモーター下で発現させたアレイを持たせ、L4(4齢幼虫期)、YA(Young Adult期)およびLA(Late Adult期:L4から36時間後)におけるDTCでのmig-24p::Venusの蛍光強度を計測した。野生型ではL4からLAにかけて徐々に蛍光強度が減少していたが、変異体ではYA、LAで高い蛍光強度を維持していた。このことから、MIG-39はYAでMIG-24の発現を負に制御し、MIG-24がDTCの停止を負に制御していると考えられる。またDTC overshootが顕著であった尾側でmig-24p::Venusの蛍光強度が頭側より高かったことから、頭、尾側の生殖巣でMIG-39やMIG-24の要求度に差があるのではないかと考えている。2.MIG-39の発現部位の解析;MIG-39の303aaから470aaを抗原ペプチドとし、2種類の独立なMIG-39抗体を得ることに成功した。作成した抗体を用いて免疫沈降およびウェスタンブロットを行ったところ作成した抗体のうち1種類が野生型のみで働くことが分かった。そこで免疫染色法を行いMIG-39の生体内での局在を観察した。MIG-39は生殖巣先端のDTCの核内および生殖細胞の核内に局在が見られた。この局在はmig-39(tk107,tk102,では見られなかった。ヒトDREFでも同様な局在パターンが見られていることが報告されている(Yamashita et al.,THE Journal of Biological Chemistry 282,7563-75,2007)。DTCの核内に存在するMIG-241bHLHの発現を負に制御していることから、MIG-39はDTCの核内でMIG-24の転写を制御していると考えられる。3.DTC停止のモデル;現在までの結果から野生株での機能として、MIG-39はMIG-24の発現を負に制御し、MIG-24はDTCの停止を負に制御していることが分かった。すなわちMIG-39はMIG-24発現制御を介してDTC停止を正に制御していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
1)MIG-39の局在場所、および時期の同定MIG-39抗体を用い、免疫染色法を行なったところ、MIG-39は生殖巣先端のDTCの核内および生殖細胞の核内に局在が見られDTCの核内での局在パターンが時期特異的に変化していた。そこでMIG-39の局在を時期特異的に観察する。 2)細胞骨格系変具体でのDTC overshootの観察、および経路上での位置の同定代表者は細胞骨格系の変異体でもDTCがovershootすることを明らかにしており、これらの変異体とmig-39変異体の二重変異体を作成し、表現型の解析をすることでDTCの停止に関係する因子を明らかにする。 3)各遺伝子におけるMIG-24/HLH発現制御機構の解析pmig-24::Venusを発現させた個体を作成し、L4,YA,LA(L4より36時間)での蛍光強度を測定したところ、野生型ではL4から徐々に蛍光強度が低下していたが、mig-39変異体では低下せず高いままであった。そこで細胞骨格系の変異体では変化がないかを測定し、またmig-39変異体との二重変異体でどう変化するのかを測定する。
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