研究課題/領域番号 |
12J02519
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
飯塚 里志 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 単視点モデリング / イメージベースドレンダリング / 物体抽出 |
研究概要 |
単視点2次元画像から3次元モデルを自動生成するために, まず少数の局所的なデプス情報のみから3次元モデルを生成する手法を提案した。この手法で生成される3次元モデルは、前年度の研究で行っていた少数のポリゴンから構成される単純なものではなく、より詳細で滑らかな形状をもつモデルである。これにより、前手法のような制約された広い風景画像だけでなく、物体を近くから撮影した画像や絵画など多様なシーンの3次元モデルを生成することが可能となる。提案手法では、まずユーザが指定した局所的なデプスにもとづき、1)均質な小領域ベースの重み付き測地距離によるデプスマップの生成と2)エネルギー最適化によるデプスの平滑化、3)ラプラス方程式を用いたピクセル単位のデプスマップの生成の3ステップによって画像全体の奥行きを算出する。この手法は既存手法よりも奥行きを精度良く高速に計算することができるため、3次元モデルの変形をリアルタイムで確認しながら編集することができる。また、デプスマップから奥行きが大きく変化する不連続箇所と、遮蔽領域のデプスとテクスチャを自動で計算することで、より広範囲の視点移動に対応できるようにしている。さらに提案手法は3次元モデルの生成だけでなく、立体視画像の生成や霞の合成、カメラの焦点調整などにも利用できる。 また、3次元モデルを生成する際に重要な、画像から物体領域を自動で検出するために顕著性マップの計算についても研究を行った。顕著性マップとは人の目の引きやすい領域を計算したものであり、これは物体領域と一致することが多いため、3次元モデルを生成する際に重要な工程である物体領域の分離に利用できる。提案手法では上述したデプスマップの計算手法をもとに、均質領域ベースの重み付き測地距離や色のコントラストなどから顕著値を計算することで、より物体領域と一致する顕著性マップを生成できるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所的なのデプス情報から画像全体の奥行きを推定する手法を提案し、同時に遮蔽領域の抽出とその領域のデプスとテクスチャの計算を自動で行えるようにし、複数のシーンにおいて良好な結果を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は画像全体の奥行きを推定する精度をさらに向上させ、より多様なシーンの3次元シーンモデルを構築できる手法について研究を行う。また、これまでユーザが入力していた局所的なデプスを機械学習などによって自動で算出することで、1枚の画像から全自動で3次元シーンを生成することを目指す。
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