研究概要 |
本年度は (i)ブロック低ランク行列を用いた画像中の精細成分の数理的表現に基づく正則化の提案と,その画像復元・構造-テクスチャ成分分離への応用 (ii)階層型凸最適化を利用した最適解の選定による復元性能の根本的改善と,情報が欠落した観測からの画像復元に対する応用 (iii)複雑なデータ忠実性制約が課された画像復元問題に対する解法の提案と,光量制限化における画像処理への応用 (iv)自然画像の色分布の局所的線形性に基づく正則化項の提案と,カラー画像復元における色ムラ低減への応用 (v)幅広いクラスの非可微分凸時変目的関数を取り扱うことが可能な適応アルゴリズム (vi)非可微分凸最適化アルゴリズムADMMの改良,収束解析および超解像への応用(共同研究) に関して研究を行い,その結果を国内会議に6本,国際会議に4本,論文を投稿した.また、昨年度(23年度)学術誌に投稿した論文が採録された.これらの成果のうち,(i)-(iv)は,初年度の研究実施計画にあった「凸最適化に基づく高精細画像復元の基盤をなす技術の開発」に深く関わるものであり,当該技術の発展によって,パターン認識,生体・医用画像処理,コンピュータビジョン等における幅広い応用が見込める.また,これらの研究成果が権威ある国際会議に軒並み採録されていること(下記,学会発表参照)から,世界的にもインパクトのある成果であることがわかる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度であるにもかかわらず,下記の研究成果一覧にもあるように,今年度から開始した研究のうち,既に4件の論文が国際会議に採録されている.さらに,この内2件は信号処理分野における最も権威ある国際会議ICASSPに,1件はコンピュータビジョン・パターン認識における最も権威ある国際会議CVPRに採録されていることから,世界的にもインパクトの高い成果であると認められていることがわかる.
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今後の研究の推進方策 |
まず,初年度の成果をさらに成熟させ,論文誌へ投稿するためにまとめる.一方で,基礎的なアイデアはあるものの,まだ具体的な成果となっていない研究を遂行し,国際会議へ投稿出来るレベルへと仕上げる.さらに,これらの研究を俯瞰的に眺め,各々を統合し,さらなる発展を目指す.
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