平成25年度前半ではまず、プロトタイプ実装におけるいくつかの実装上の問題点を洗い出し、ソフトウェアを再設計し、実装の完成度を高めた。つづけて、本研究の独創的な点の一つである、GUI (Graphical User Interface)環境に対し提案手法の適用を試みた。一般的に、GUI環境の操作のいくつかは、OSからアクセス制御をおこなうことは困難であるが、提案手法により、ほぼ情報追跡と情報漏洩の阻止ができることを確認した。しかし、ウィンドウシステムのサポートするカットアンドペーストのようなアプリケーションレベルのバッファ操作など、いくつかの場合において、情報追跡が途切れてしまうことが明らかになった。今後は、これらの場合にも対応できるように提案手法を拡張し、ウィンドウシステムと協調したセキュリティポリシー記述言語とその処理系として発展させていく予定である。また、これらの研究と平行し、提案手法のようなOSカーネルでおこなうアクセス制御が悪意のあるプログラムなどに無効にされないよう、OSの完全性を担保するハイパーバイザに関する研究成果をまとめ、情報処理学会論文誌に投稿し採録された。
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