研究課題/領域番号 |
12J02601
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
村上 大輔 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 空間統計学 / 形態変換 / 空間フィルタリング / GIS / 空間計量経済学 |
研究概要 |
具体的内容 本年度では、研究目的「空間データのための代表的なモデルである(a)空間統計モデル、(b)空間計量経済モデル、及び(c)固有ベクトル空間フィルタリングに基づいた時空間データの形態変換法(例えば市町村別人口の町丁目別人口への変換)の体系整理・拡張」を行った。体系整理の結果、次の点を明らかとした。形態変換の研究は2000年前後より(a)空間統計学で徐々に活発化した。特に2010年以降は、ベイズ統計理論の形態変換への応用が活発化した結果、空間統計学に基づいた形態変換の研究が急増した。(b)空間計量経済モデルに基づいた形態変換法に議論は極めて限定的であるものの、Polaski教授やGriffith教授などはこの問題に取り組んでいる。(c)固有ベクトル空間フィルタリングの形態変換への応用は皆無である。ここで、形態変換の研究が最も活発な分野は(d)地理学である。 本研究で着目した(a)、(b)、(c)の各形態変換法は予測誤差分散の最小化に基づいて変換ができる点で精緻であるが、(d)よりも実用性が低く、また(d)で重要とされてきた精度向上のための補助的データの利用が軽視されてきたということが判明した。 以上より次のような(a)、(b)、(c)に基づいた形態変換法として次のような手法を構築した。(i-1)(a)に基づいた補助的データを活用することのできる手法、(i-2)(c)に基づいた実用的な形態変換法、。なお、(b)に基づいた形態変換法もまた昨年度構築している。(i-1)は集計データの形態変換、及びポイントデータの形態変換の一種であるサンプリングデザインに応用した。(i-2)はポイントデータ及び集計データの各形態変換に応用した。 意義・重要性 (a)、(b)、(c)(、及び(d))の形態変換法を包括的に整理した唯一の研究であり、(a)、(b)、(c)の各分野での形態変換への応用、ひいてはデータの統合利用への応用の研究を活発化する意味で重要である。また、各分野の形態変換の研究はほぼ独立に行われてきた(特に(d)とそれ以外)ことから、各分野の議論を結びつけたという意味でも重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初議論する予定であった3分野(空間統計学、空間計量経済学、固有ベクトル空間フィルタリング)だけでなく地理学の議論にも踏み込むことができ、それにより、より深みのある議論ができたように思う。また、それを踏まえた手法の構築も行えている。従って、計画以上に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究成果を逐次博士論文としてまとめていく。また、4月から10月の間、地理学の大家であるDaniel A. Griffith教授の下でご指導頂くこととなっている。今後はGriffith教授との議論を通して私の研究をより充実したものとしていく予定である。
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