研究課題
本年度では、昨年度に得られたマイクロアレイデーターから遺伝子の発現量の比較解析を行った。異常が確認されていない葉での解析結果からは有意に発現量が変化した遺伝子は見いだされなかったが、古い野生株の花序とatsec23fgの異常を示した花序における解析結果からは、有意差が認められ、その変化が二倍以上の遺伝子として1044遺伝子が見いだされた。これらのうち、atsec23fgの異常な花序では42遺伝子が発現上昇しており、残りの1002遺伝子は発現が低下していた。また、ATSEC23FとATSEC23Gの発現量の低下も確認された。さらに、若い野生株の花序を用いたマイクロアレイ結果を解析に加えることで、上述の遺伝子の中から若い野生株の花序とatsec23fgの異常な花序の間で発現量が変化していない遺伝子を選抜した。その結果、転写因子としてWRKY43、MYB-like 102 (MYB102)とhomeobox-leucine zipper protein ATHB-12 (HB-12)が見いだされた。MYB102とHB-12は古い野生株の花序では発現が上昇するが、atsec23fgの異常な花序では発現が若い野生株の花序と同程度であった。MYB102とHB-12はデータベースの検索により、生長阻害や老化促進に関わるアブシジン酸に応答し、発現が上昇することが示された。ATSEC23Fと23GはシロイヌナズナにおけるSec23ホモログであり、このSec23はCOPII小胞と呼ばれる輸送小胞を形成することで細胞内でのタンパク質輸送に関与している。COPII小胞が司るタンパク質輸送と植物の発達との関わりは未解明であり、本研究の結果はCOPII小胞による輸送がアブシジン酸受容体の輸送を介して花茎の形成を制御するという新たな示唆を与えるものである。
(抄録なし)
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