研究課題/領域番号 |
12J02620
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
増田 展大 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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キーワード | 映像文化 / 身体表象 / 連続写真 / 初期映画 / アニメーション |
研究概要 |
19世紀末フランスにおける身体の測定とその表象について、平成24年度の研究成果は研究実施計画に即して、おおよそ以下の三点において展開された。 まず、研究実施計画に記した生理学と心理学における身体の測定とその表象について、本年度は19世紀末の身体鍛錬やジムナストによる実践を具体例として考察を展開した。なかでも、生理学的知見を体育教育に応用したジョルジュ・ドゥメニーが残した連続写真や映画による身体運動の分析を、同時代の医学や心理学における映像実践、さらにそれを模倣した喜劇俳優たちの演技との比較することによって考察し、その成果を学会において口頭発表した。 次に、研究実施計画に記した同時代の美術史の言説との関係について、本年度は20世紀初頭の美術解剖学者ポール・リシェの実践を論文にまとめて発表した。ここではフランスにおける近年のイメージ論における成果をおなじく英米圏の研究成果と付き合わせ、批判的に展開することが試みられた。この成果は、本研究に一貫する映像技術論をさらに展開する足がかりになると考えられる。 最後に、その映像技術論の具体例として重視される分野であるアニメーション論を将来的に展開するための準備作業をおこなった。デジタル技術の登場以降、フィルム・スタディーズを中心に見直されつつあるアニメーション史のなかでも、20世紀初頭の初期アニメーションに着目し、それを連続写真等に関わる上記のこれまでの研究と接合することを試みる口頭発表を、本年度は二度に渡っておこなった。さらに、日本のアニメについての国際学会においても発表機会を得ることによって、最新の研究動向について調査し、議論を交わすことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的と実施計画に記した内容を展開し、それぞれの問題について発表する機会を得たと同時に、様々な意見を頂くことができたため、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本研究課題の準備として国内における先行研究の調査と問題点を明らかにすることができたため、そのうえで研究計画に記した行き先から変更する必要が生じるものの、来年度は計画通り、海外での調査活動をおこなう予定である。
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