研究概要 |
1.PoK,PPSの反応機構・基質認識機構の解明 既に解析したThermococcus kodakarensisのPoKに続き、PPSの生化学的解析を進めた。PPSはbeta-alanineに対してMichaelis-Menten型の挙動を示す一方で、4-phosphopantoateおよびATPによる基質阻害を受けることが分かった。またPoKと同様、CoA,acetyl-CoAによる阻害効果は認められなかった。 2.CoA生合成の制御機構の解明 本菌のCoA生合成がPoK,PPS以外の酵素に対する阻害によって制御される可能性を考え、KPRの解析を進めた。まず本菌のKPRを同定するため、大腸菌・酵母由来のKPRと相同性を示すタンパク質をコードする遺伝子を探索した。その結果TK1968が唯一の候補遺伝子であったため、その解析を進めた。遺伝学的解析では、TK1968遺伝子破壊株は生育速度と細胞収量の大幅な低下を示し、それらはpantoateによって相補されたことから、TK1968はpantoateの供給に大きく寄与することが分かった。生化学的解析では、TK1968は2-oxopantoateに対して厳密な特異性を示し、 TK1968は本菌のKPRであることが強く示唆された。速度論的解析の結果、NADHに対するk_<cat>/K_m値はNADPHに対する値の約4倍であったため、大腸菌や酵母由来のKPRはNADPH依存型と報告されているのに対し、本菌のKPRはNADH依存型酵素であることが分かった。またCoA,acetyl-CoAの影響を調べたところ、KPRの反応速度は著しく低下し、KPRはCoAによる阻害を受けることが分かった。この結果から、本菌のCoA生合成はKPRに対するフィードバック阻害によって制御されることが示唆された。
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