研究課題
酸化ストレスの下流にあるASKI分子は炎症に強く関係し、心・血管病変の発症に深く関与している。我々は、マウスの両側総頚動脈にマイクロコイルを巻きつけ、主に脳梁白質部を慢性脳低灌流状態とすることにより、脳梁部の白質病変に伴い血管性認知症が誘導されることを報告してきた(BCAS術 : Dong YF, Toyama K, et al. Hypertension. 2011)。しかしながら、血管性認知症とASK1分子の関連性については不明である。そこで、野生型マウスとASK1欠損マウスへマイクロコイルを巻き付けて慢性脳低灌流・虚血状態とし、行動試験と脳白質病変にっいて評価したところ、ASK1欠損マウスでは作業記憶・参照記憶の障害や白質病変の進展が認められなかった。これは、ASK1が血管性認知症の病態に重要な役割を果たしていることを意味している。さらに、慢性脳虚血により脳内で増加した酸化ストレスがASK1-p38 Cascadeを介して血管内皮細胞間のタイトジャンクションを減少させ血液脳関門の破綻を誘導することが血管性認知症の発症機序であることを明らかとした。これらの結果は、ASK1分子を標的とした治療戦略が認知機能障害の進展抑制に有用となり得る可能性を示唆するものである。また、心血管患者における認知機能障害の病態を解明するため、積極的脂質低下を目標にした運動の介入が心血管疾患患者の認知機能の向上に寄与する可能性があることも分かった。
(抄録なし)
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Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology
巻: 34 ページ: 616-625
10.1161/ATVBAHA.113.302440