研究課題
ヒト成人の褐色脂肪は陽電子画像診断法(FDG-PET/CT)により検出・評価可能である。これまで我々は、ヒト褐色脂肪が寒冷刺激により活性化するとエネルギーを消費する働きを持っているが、加齢とともに機能低下して肥満進展の一因になることを報告してきた。本研究では、食品成分によるヒト褐色脂肪の機能強化方法を探るとともに、肥満対策としての応用の可能性を検討した。【検証1】健康な若年男性12名を対象に、室温17℃にて2時間安静にする寒冷刺激を6週間継続するとFDG-PET/CTで評価した褐色脂肪活性が増加し、同時に体脂肪が減少した。本結果は積極的な介入によりヒト褐色脂肪を増量させた初めての例である。【検証2】より簡便的な刺激方法を考案するため、温度受容機構であるTRPチャネルを食品成分で刺激で刺激することの効果を検証した。TRPのアゴニストであるカプシノイド9mgを18名の被験者に単回摂取させ、2時間にわたってエネルギー消費量を測定したところ、褐色脂肪活性依存的に増加した。温度受容チャネルのアゴニスト成分を摂取することでヒト褐色脂肪を刺激できることが判明した。【検証3】褐色脂肪活性が弱い10名を対象に、カプシノイド9mg/日を6週間摂取する前後で褐色脂肪熱産生活性を測定したところ、これが顕著に上昇した。TRPチャネルのアゴニスト成分を長期間、継続的に摂取すると、ヒト褐色脂肪が増量することが判明した。【検証4】カプシノイド同様にTRPチャネル刺激活性を有する成分(ショウガ科植物抽出物 : GP)について、検証2と同様の検証を行ったところ、GPの単回摂取により褐色脂肪組織での熱産生が亢進することが判明した。GPの経口摂取によってもヒト褐色脂肪の熱産生活性を上昇させられることが判明した。【検証5】検証3及び4の結果を踏まえると、GPの慢性摂取により褐色脂肪を増量できる可能性がある。褐色脂肪活性が弱い9名を対象に、GP40mg/日を6週間摂取する前後で褐色脂肪熱産生活性を測定したところ、これが顕著に上昇した。GPの長期的な摂取によりヒト褐色脂肪を増量させることに成功した。
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