研究課題/領域番号 |
12J02938
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
倉部 慶太 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ジンポー語 / カチン語 / チベット・ビルマ語派 / 記述言語学 / 格標示 / 接頭辞 / Duleng方言 / Dingga方言 |
研究概要 |
2012年度は2回の海外現地調査を行ったほか、国際会議にて4回の研究発表を行った。また、2編の査読論文を公刊した。 (1)海外現地調査 2012年5月-6月および2012年12月-2013年1月に、ミャンマーのカチン州において、標準ジンポー語を対象に言語データの収集を行った。自然談話・民話資料の収集のほか、文法調査を行い、接頭辞、格標識、借用語などを中心に一次資料を収集した。また、先行研究の極めて乏しいジンポー語Duleng方言を対象とした予備的調査も行い、基礎語彙および民話資料数編を収集した。さらに、2012年5月-6月に行った現地調査により、これまで先行研究において全く言及のなかった、Shang方言およびDingga方言という二種の新方言を発見し、これら方言の基礎語彙各一千語弱および民話資料数編を収集した。 (2)研究発表 2012年度は国際会議での発表を4回行った。これらは標準ジンポー語、ジンポー語Duleng方言、ジンポー語Dingga方言を対象としたものである。標準ジンポー語に関しては、接頭辞、借用語に関する考察、インド圏とシナ圏という地域言語学的観点からの考察などを行った。Duleng方言に関しては、共時的観点からの音韻・文法の考察、通時的観点からの歴史・比較言語学的考察を行った。Dingga方言に関しては、共時的観点からこの言語の動詞否定形に観察される形態音韻論的交替を記述し、通時的観点からこの交替形の歴史的発展に関する考察を行った。 論文に関しては、二編の論文を公刊した。一編は、標準ジンポー語の格標識を共時的観点から記述し、考察を行ったものである。もう一編は、標準ジンポー語の文法概要と20編の談話資料である。以上のほかに、ミャンマーのマンダレー市で出版されたジンポー語雑誌にジンポー語による記事を一編執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ミャンマー連邦カチン州において臨地調査を実施し、標準ジンポー語を対象に文法資料や民話・談話資料などの一次資料を収集・分析した。また、当初の計画通り、先行研究の乏しいいくつかのジンポー語方言の予備的調査を行い、これら方言の語彙資料や文法資料、民話資料などの一次資料を収集・分析した。そして、これらの臨地調査により得られた一次資料に基づき、国際学会で発表を行い、格標示や談話資料を論文として公刊した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、ミャンマー連邦カチン州において、標準ジンポー語を対象とした臨地調査を行い、この言語の語彙・文法資料や民話・談話資料などの一次資料を集積する。あわせて、現地調査により、先行研究の乏しい二三のジンポー語方言を対象として予備的調査を行い、語彙・民話資料を中心に一次資料を集積する。これらの調査により得られた資料に基づき、国際会議で発表し、論文を公刊する。また、調査により得られた資料に基づき、博士論文を執筆する。
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