研究課題/領域番号 |
12J02963
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
セーボレー 那沙 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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キーワード | アプタマー / Cell-SELEX / Proteus mirabilis / Escherichia coli / 次世代シーケンサー / 尿路感染症 |
研究概要 |
アプタマーは通常10^<14>種類以上の配列を含む核酸ライブラリーから試験管内進化法(SELEX)によって探索される。特に、細菌や細胞を直接標的として用いるCell-SELEXによって、細胞膜上の未同定な蛋白質に対するアプタマーを探索可能である。通常SELEXは、(1)ライブラリーと標的分子の結合、(2)結合したライブラリーの回収、(3)ライブラリーのPCR増幅の過程を繰り返し行い、最後にライブラリーに含まれるDNA配列を解析することでアプタマーを同定する。しかし、PCRの繰り返しによる配列の偏りや、解析できる配列数が限られていることなどから、必ずしも親和性や特異性の優れたアプタマーが得られるわけではない。そこでSELEXにおいて、次世代シーケンサーを用いて回収したライブラリーの配列解析を網羅的に行うことで、配列情報を元に優れたアプタマーを同定できると考えられる。本研究では次世代シーケンサーを用いたCell-SELEXにより、細胞や細菌の細胞膜蛋白質に対してアプタマーを開発することを目的としている。本年度は、尿路感染症の主な原因菌であるProteusmirabilis B4株とEscherichia coli NSM59株を標的にCell-SELEXを行い、アプタマーの探索を試みた。各々の細菌に対するCell-SELEXにおいて、菌体に結合したライブラリーをqPCR解析により定量した結果、Cell-SELEXの操作サイクルを3~6回繰り返すことで標的細菌に対するライブラリーの回収量の増加が確認された。回収したライブラリーの配列解析をそれぞれ約40本ずつ行った結果、E.coli NSM59に結合するアプタマーを取得した。今後、次世代シーケンサーを用いて網羅的な配列解析を行うことで、標的細菌に対して高い親和性と特異性を示すアプタマーを取得出来ると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度中に、標的細菌に結合するアプタマーの探索に成功した。今後、次世代シーケンサーを用いた配列解析やアプタマーの機能改良を行うことによって、細菌検出に応用出来ると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、カテーテル関連尿路感染症の主な起因菌であるProteus mirabilisに結合するアプタマーをCell-SELEXと次世代シーケンサーを用いた配列解析により同定することを目指す。JSPSの頭脳循環プログラムによる海外派遣によって英国ブライトン大学のBrianV.Jones博士との共同研究として遂行する。また、当初の研究計画通り腫瘍細胞に対するアプタマーの探索にも着手しており、標的細胞を特異的に認識するアプタマーの開発を行う。
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