研究課題
尿路感染症細菌(Proteus mirabilis)の細胞表面上の新規バイオマーカー探索、及び病原性因子の1つである鞭毛蛋白質を特異的に認識する分子認識素子の開発を目的とし、Counter Cell-SELEX法によるDNAアプタマーの探索を実施した。Cell-SELEXでは細胞膜上の蛋白質をアプタマーの標的とすることができる。P. mirabilisに特異的な結合を示すアプタマーを取得するために、非Proteus属細菌やP. mirabilisの変異株をネガティブセレクションに用い、それぞれP. mirabilisに特異的な結合を示すアプタマーライブラリーの取得に成功した。ライブラリの塩基配列解析を行った結果、標的細菌に結合するアプタマーの同定に成功した。さらに結合能及び特異性が高いアプタマーを同定するために、現在次世代シーケンサーを用いたライブラリの大規模配列解析を進めている。標的細菌及びネガティブセレクションに用いた細菌のそれぞれに結合するライブラリの配列情報を比較し、標的のみに高い親和性を示すアプタマーの配列の同定を試みる。そして、取得したアプタマーを応用して細菌検出用バイオセンサーを構築し、尿路感染症の簡便かつ迅速な診断技術の開発を目指す。さらに、本研究では生体組織中の未同定蛋白質に結合を示すアプタマーの新規探索技術の開発も進めた。全自動二次元電気泳動装置を用いて、モデル試料としてマウス肝臓中の蛋白質を分離し、分離した蛋白質を膜に転写した。そして、転写膜上の特定のスポットを標的にアプタマーの探索をSELEXにより進め、標的スポットを特異的に認識するアプタマーの取得に成功した。今後、アプタマーを用いた新規バイオマーカー探索としての応用研究を進める。
2: おおむね順調に進展している
新規アプタマー探索手法を開発し、標的細菌を特異的に認識するアプタマーの探索に成功した。さらに、次世代シーケンサーを用いた配列解析を進めており、当初の研究目的及び研究計画に準じて研究を実施している。
今後、次世代シーケンサーを用いた大規模配列解析により、標的を特異的に認識するアプタマーの同定法の確立を目指す。次世代シーケンサーを使用した研究は、英国ブライトン大学及びアイルランドのTeagasc Food Research Centreとの共同で進める。そして、最終年度はこれまでに開発したアプタマーを用いて診断用バイオセンサーの構築を目指す。
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Biotechnology and Bioengineering
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