研究課題/領域番号 |
12J03020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
菊繁 吉謙 九州大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(PD)
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キーワード | TIM-3 / 白血病幹細胞 / 骨髄増殖性疾患 |
研究概要 |
申請者は昨年度、慢性骨髄増殖性疾患の中でも骨髄異形成症候群(MDS)に着目して研究を遂行した。申請者は、急性骨髄性白血病(AMDにおいて、白血病幹細胞に特異的に高発現する分子TIM-3を同定しており、平成24年度の研究結果、30症例のMDS症例におけるTIM-3発現に関して臨床サンプルを用いて解析し、病期進行とともに、TIM-3陽性の異常表面形質を有するCD34陽性CD38陰性造血幹細胞が増加することを見山した。このように慢性骨髄増殖性疾患から急性骨髄性白血病への病期進展の過程でTIM-3発現細胞の割合が著明に上昇することから、申請者はTIM-3が腫瘍の進展に関与する機能的分子である可能性を考えた。そこで、平成25年度はTIM-3のリガンドとしてこれまでに最も解析が進んでいるgalectin-9に注目した。健常者および白血病患者血清中のgalectin-9濃度をELISA法にて測定した。興味深い事にヒトgaleetin-9の血中濃度は、リンパ系腫瘍においては健常人と同程度であるのに対して、AMLにおいて血し中濃度が特異的に上昇していることを見出し、白血病細胞自身がgalectin-9を産生、分泌する仮説をたてた。細胞内染色を行い、AML細胞がgalectin-9タンパクを細胞内に高レベルで発現していることを見出した。次に、AML、細胞がin vivoでgalectin-9を分泌するか否かを検討した。患者由来AML細胞を免疫不全マウスに移植し、AMLをin vivoで再構築し、マウス血清中のヒトgalectin-9濃度を測定した。AMLを再構築したマウス血清からはAML患者同様に高濃度のヒトgalectin-9が検出された。即ち、AML細胞がinvivoにおいてTIM-3のリガンドであるgalectin-9をautocrine様式で分泌していることが明ちかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、貴重な臨床サンプルを用いて、腫瘍性幹細胞におけるTIM-3の機能解析を進めた。その結果、白血病細胞自身がautocrine様式によりリガンドであるgalectin-9を分泌し、自身の発現するTIM-3に作用させているという癌幹細胞において非常にユニークな機構を見出した。これまでの経過として、おおむね予定通りに本研究課題が遂行できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として、白血病幹細胞において、TIM-3/galectin-9相互作用がどのような生物学的機能を有しているかを検討する。具体的にはマイクロアレイ、RNAシーケンスを用いて、galectin-9刺激後の白血病幹細胞分画の網羅的遺伝子発現プロファイルを評価する。さらに、慢性骨髄増殖性疾患の病期進行に伴って出現するTIM-3陽性異常幹細胞と同一症例に残存するTIM-3陰性造血幹細胞をFACSにより純化し、どのような遺伝子変異が加わる事で白血病への進展が生じるかを次世代シーケンサーによる全エキソン解析を行い明らかにする。
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