エラスティック光ネットワークは、柔軟な帯域割当が可能な技術として将来の光ネットワーク技術を支える技術として注目されている。エラスティック光ネットワークでは、割り当てられた周波数は連続であり、全てのノード上で共通でなければならないため、経路選択、変調方式及びスペクトル割当(RMSA)が重要な課題である。RMSAを分散管理で解決する技術として、従来、Generalized multi-protocol label switching (GMPLS)技術が利用されてきたが、経路計算のためにルーティングプロトコルをネットワーク全体に配布するためコントロールプレーンのオーバヘッドが大きく、また、分散管理による予約の競合を避けられない課題があった。また、 動的に光パス設定要求が到着するエラスティック光ネットワークでは、光パスが設定および開放されるにつれ割当可能な周波数が断片化し、ネットワークの資源利用効率が低下する課題があった。 そこで本研究では、シグナリングプロトコルのPathメッセージをブロードキャスト送信し、Pathメッセージに転送経路を記録することで、ルーティングプロトコルなしに経路選択を可能にした。また、Pathメッセージのブロードキャストにより発見した複数経路に対して逐次予約を開始し、後に発見した経路に対しては仮予約シグナリングを行うことで、ネットワーク資源の過剰割当を避けながら、予約の競合による性能劣化を抑えた。さらに、断片化リンク数を最小化するカット回避RMSAおよびブロック単位で周波数を割り当てるブロック割当RMSAを提案した。 シミュレーションの結果により、提案RMSA手法は従来のGMPLS手法に比べ、コントロールプレーンのオーバヘッドおよび、光パス設定要求のブロッキング率の観点から性能を向上させており、断片化による影響も抑えられていることが分かった。
|