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2012 年度 実績報告書

新生代後半の東南アジアにおける霊長類を含む哺乳類化石相の変遷と環境変動の関係

研究課題

研究課題/領域番号 12J03100
研究機関京都大学

研究代表者

西岡 佑一郎  京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)

キーワード哺乳類化石 / ミャンマー / 新第三紀 / 古環境変化 / 齧歯目 / ウシ科
研究概要

年度前半は,フィールドにおける地質調査,化石標本の収集,形態データの収集,および博物館における標本観察をおこなってきた.6月にミャンマーのグウェビン地域にて約3週間のフィールド調査を実施した.この調査では,まず化石産地の地質調査をおこない,柱状図を作成して産地間の地質学的な関連性を調べた.小型哺乳類を産出した地点にて堆積物を約500kg採取し,1mm目のふるいを用いて水洗した後,その残留物から小型哺乳類化石の抽出を試みた.その結果,霊長類,薔歯類,兎類を含む合計100点以上の小型哺乳類化石の採取に成功し,これらの同定と形態学的な分析をおこなった.得られた哺乳類化石群集をインド,タイ,中国の哺乳類化石群集と生層序学的に比較した結果,グウェビンから見つかった化石群集は,後期鮮新世または前期更新世の群集であることがわかった.また,化石群集は東南アジアの固有種を多く含んでいたことから,河川などによる地理的障害の影響を受けていたのではないかと考察した.11月にはタイにて1週間の標本調査を実施し,Chavalit博士の化石コレクションを観察した.ウシ科標本については古環境分析に用いるデータとして,歯の咬合面構造の計測をおこなった.これらのデータを用いてメソウェア解析を行った結果,ミャンマー中部は鮮新世前半と後半で古環境が大きく変化していなかった可能性が示唆された.これは南アジアで起きた古環境変化とは異なる結果である.年度後半は,これまで得られたデータを博士学位論文としてまとめた.2013年2月にはミャンマーにて約2週間のフィールド調査,および資料の収集をおこなった.この調査では,標本の追加と再観察を目的とし,学位論文で記述した結果との整合性を検討した.本年度得られた成果は,後述する国際学会および国内学会にてすでに公表されている.また,その内容は現在論文として投稿準備中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究計画は全て達成した.しかし,本年度の後半はほとんど学位論文をまとめる作業に費やしたため,論文を投稿することができなかった.現在,投稿準備中のものが3点あるので,これらを平成25年度前半中にまとめていく予定である.

今後の研究の推進方策

今後の研究で利用する予定だった「X線照射器ノーマッド」について問題が生じた.まず,価格が当初60万とされていたが,80万近くまで値上がりした.また,製造会社によるデモを行ったところ,本研究へ利用する場合,機器だけではなく消耗品としてフィルムおよび現像キットが必要であることがわかった.当初の予定通り60万前後で購入できる場合は研究計画を変更せず実行するが,あまりにも高額な場合は別の機器の購入を検討する.また,年度後半にアメリカへの調査渡航を計画していたが,タイ(コラート化石博物館)へ変更する.ただし,国際古脊椎動物学会(アメリカ11月)は予定どおり参加する.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 高知県猿田洞より産出したアツブタムシオイガイ属化石種サルダアツブタムシオイガイ(新称)を含む化石陸産貝類相2013

    • 著者名/発表者名
      川瀬基弘, 早瀬善正, 安藤佑介, 西岡佑一郎
    • 雑誌名

      Molluscan Diversity

      巻: (未定)(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] New data on the Neogene anthracotheres (Mammalia, Artiodactyla) from central Myanmar2012

    • 著者名/発表者名
      Tsubamoto, T., et al.
    • 雑誌名

      Journal of Vertebrate Paleontology

      巻: 32 ページ: 956-964

    • DOI

      10.1080/02724634.2012.670176

    • 査読あり
  • [学会発表] ミャンマー中部の後期鮮新世-前期更新世の哺乳類相2013

    • 著者名/発表者名
      西岡佑一郎, ほか
    • 学会等名
      日本古生物学会第162回例会
    • 発表場所
      横浜国立大学(横浜市)
    • 年月日
      20130100
  • [学会発表] The PIio-Pleistocene mammal fauna and paleoenvironment in central Myanmar2013

    • 著者名/発表者名
      Nishioka, Y., et al.
    • 学会等名
      2nd Southeast Asian Gateway Evolutio Meeting
    • 発表場所
      フンボルト大学(ベルリン)
    • 年月日
      2013-03-11
  • [学会発表] 骨形態から見た四国のニホンザルー現生種と化石種の間に違いはあるのか?-2012

    • 著者名/発表者名
      西岡佑一郎, 伊藤毅, 高井正成
    • 学会等名
      四国自然史科学研究センター設立10周年記念イベントシンポジウム「四国の自然は,いま2012」
    • 発表場所
      高知大学(高知市)
    • 年月日
      20121200
  • [学会発表] 四国の更新世ハタネズミ属化石-四国でのハタネスミ属の絶滅シナリオと今後の研究展望-2012

    • 著者名/発表者名
      西岡佑一郎, 河村善也
    • 学会等名
      2012年度日本哺乳類学会
    • 発表場所
      麻布大学(相模原市)
    • 年月日
      20120900
  • [学会発表] PIio-Pleistocene rodents of central Myanmar2012

    • 著者名/発表者名
      Nishioka, Y., et al.
    • 学会等名
      JSPS AA Science Platform Program "Second International Symposium on East Asian Vertebrate Species Diversity"
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
    • 年月日
      20120700
  • [学会発表] 南琉球列島における住家棲小型哺乳類の化石記録と分散時期2012

    • 著者名/発表者名
      西岡佑一郎, 中川良平
    • 学会等名
      日本古生物学会2012年年会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋市)
    • 年月日
      20120600
  • [学会発表] ミャンマー中部の後期中新世~前期更新世齧歯類化石2012

    • 著者名/発表者名
      西岡佑一郎, ほか
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2012年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(幕張市)
    • 年月日
      20120500
  • [図書] 日本のサル学のあした-霊長類研究という「人間学」の可能性(分担)2012

    • 著者名/発表者名
      西岡佑一郎
    • 総ページ数
      66-67
    • 出版者
      京都通信社

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公開日: 2014-07-16  

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