研究課題/領域番号 |
12J03112
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀之 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 熱帯 / 生物多様性 / 群集生態学 / チョウ / 繁殖干渉 / ニッチ / 繁殖形質 / 配偶行動 |
研究概要 |
研究課題「繁殖形質の多様性と熱帯における多種共存メカニズム」を進めるために、熱帯乾燥林において野外調査を行った。調査には現地カウンターパートが同行し、現地の法律を遵守し、安全に配慮した。調査地には多くの種類のチョウが生息し、また近隣の治安も良好なため、順調に調査を行うことができた。具体的には、チョウ類を採集し、翅の模様や大きさといった繁殖に関わる形質と、熱帯における共存メカニズムについて調べた。一部の分類群ではごく近縁な種類が同じ生息環境を利用していたが、ほとんどの種類では繁殖に関わる形質に著しい多様化が見られた。繁殖形質の酷似した系統的に近縁な種類(いわゆる姉妹種)が同じ生息環境を利用できている理由は今のところ明らかではない。しかし、野外における環境の異質性とチョウの飛翔による移動分散を考慮に入れれば、競争関係のある2種が同じニッチから見出される理由を説明できる見込みがある。これは、近年発展したメタ群集の理論に依るところが大きい。また、繁殖形質の多様化に関しては、本研究課題で予測されている通り、ニッチの重複を許容するメカニズムとして重要だと考えられる。古くはダーウィンが指摘したように、(狭義の)自然選択に関わる資源利用形質よりも、性選択に関わる繁殖形質のほうが、近縁種間で多様化している傾向はしばしば報告されている。本研究で明らかにしつつあるのは、繁殖に関わる形質の多様化こそが、生態群集における多種共存メカニズム、すなわち種の多様性の起源と維持において重要だということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた野外調査および実験室における解析を遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は野外調査を続けてデータの精度を高めるとともに、適切な統計手法を用いて複雑な群集パターンと系統進化の関係について解析する必要がある。
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