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2012 年度 実績報告書

ヒトABCC11発現マウスを用いた腋臭症の病態生理学的要因の解明と創薬アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 12J03163
研究機関東京大学

研究代表者

豊田 優  東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(SPD)

キーワードABCC11 / アポクリン腺 / 腋臭症 / ABCC11発現マウス
研究概要

本研究は、「人類のアポクリン腺関連形質決定因子:ABcc11のin vivoにおける生理的機能解析を軸に、アポクリン腺分泌機構の制御を担う分子システムを統合的に解明することを目的とし、アポクリン腺関連形質疾患:腋臭症(わきが)の治療薬探索に応用することを目指す研究」である。
生体内におけるABCC11の生理的機能を解析するために、ヒトABCC11を全身で発現するトランスジェニックマウスの作出を行った。まず、ヒトABCC11 cDNAを過剰発現用CAGプロモーター下流に組込み、発現用ベクターとした。構築した発現ベクターを用いて、マイクロインジェクション法によるABCC11発現マウス(C57BL/6系統)の作出を行い、合計6匹のFOマウスを得た。ジャームライントランスミッションの成否を確認するために、各FOマウスを野生型マウスと交配し、得られたF1マウスより抽出したゲノムを鋳型としたPCRを行うことで遺伝子型を判定した。その結果、ABCC11発現F1マウスを3系統得ることに成功した。現在、解析に必要な個体数を確保するため、各F1マウスの飼育および繁殖を進めているところである。ABCC11発現マウスが得られたことから、以後の研究計画が順調に進展すると期待される。なお、天然のABCC11欠損動物であるマウスにおいて、成熟した糖タンパク質としてABCC11が発現することは、アデノウイルスを介した一過性トランスジェニックマウスを作出することで、事前に確認した。詳細は次のとおりである。まず、ABCC11過剰発現用アデノウイルスを作製し、当該アデノウイルスを感染させたマウス肝臓癌由来Hepa1.6細胞において成熟型ABCC11タンパク質が発現することを確認した。次いで、このアデノウイルスをC57BL/6マウスに投与し、投与3日後に回収した肝臓の破砕液を用いてウエスタンブロッティングを行った。その結果、成熟型ABCC11タンパク質の発現を確認することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画を進める上で、最も重要な項目の一つであるABCC11発現マウスの作出が順調に進展している。
マイクロインジェクション法の採用により、C57BL/6マウス系統においてトランスジェニックマウスを作出することに成功したため、今後の戻し交配を省略することが可能であり、次年度以降の研究計画が速やかに実行されると期待される。また、in vitroでのABCC11過剰発現に必要なアデノウイルスの作出にも成功しており、ABCC11発現マウスの解析により見出された基質候補化合物のin vitro評価に対する不安はない。

今後の研究の推進方策

今後の研究計画では、ABCC11発現マウスを用いたin vivoにおけるABCC11の生理的機能解析を推進する。そのために、得られたABCC11発現Fiマウスを交配・繁殖させることで、実験に必要な個体数を確保する。当該マウスより各臓器を摘出し、ABCC11の発現および局在解析を行い・その結果に応じて解析に用陰るマウス系統を絞り込む予定である。その後、各葎分泌濠および各組織破砕物を対象としたメタポローム解析を行い、ABCC11の内因性基質の探索を行う。申請者が所属する東京大学医学部附属病院薬剤部は、平成25年度よりOrbitrap型のLC-MS/MSを使用できる環境になるため、効率よく研究を進めるごとができると期待される。内因性基質の候補化合物が同定された場合、その化合物を用いた混餌実験や培養細胞を用いたin vitro輸送実験等を通じ、ABCC11の基質であるかどうかを確認する。また、ABCC11がアポクリン腺の機能・性質等に与える影響を検証するために、ABCC11発現雌マウスの乳汁解析・乳腺組織の病理学的解析などを行う予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Disruption of Stard10 gene alters the PPARα-mediated bile acid homeos tasis2013

    • 著者名/発表者名
      Masanori Ito, Yoshihide Yamanashi, Yu Toyoda, Hiroko Izumi-Nakaseko, Satoko Oda, Atsushi Sugiyama, Masaru Kuroda, Hiroshi Suzuki, Tappei Takada, Satomi Adachi-Akahane
    • 雑誌名

      BBA - Molecular and Cell Biology of Lipids

      巻: 1831(2) ページ: 459-468

    • DOI

      doi:10.1016/j.bbalip.2012.11.008.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pharmacogenomics of human ABC transporter ABCC11: New insight into apocrine gland growth and metabolite secretion.2012

    • 著者名/発表者名
      Toshihisa Ishikawa, Yu Toyoda, Koh-ichiro Yoshiura, Norio Niikawa
    • 雑誌名

      Front. Gene.

      巻: 3

    • DOI

      doi:10.3389/fgene.2012.00306.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Opinion -研究の現場から「研究テーマ引継ぎ-現場からみた3つの提言」2012

    • 著者名/発表者名
      豊田優, 久保田佐綾, 松原惇高
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 30(18) ページ: 136

  • [雑誌論文] トランスポーターと疾患研究の最前線 生活習慣病とトランスポーター

    • 著者名/発表者名
      豊田優, 高田龍平
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: (In press)

  • [学会発表] アセトアミノフェン誘導肝障害のin vivoおよびin vitroモデルによる解析2012

    • 著者名/発表者名
      守矢恒司, 豊田優, 田川陽一
    • 学会等名
      第85回日本生化学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-15
  • [学会発表] Acetaminophen-induced hepatotoxicity in a liver tissue model consisting of primary hepatocytes assembling around an endo thelial cell network.2012

    • 著者名/発表者名
      Yu Toyoda, Koji Moriya, Miho Tamai, Tappei Takada, Hiroshi Suzuki, Kasumi Kashikura, Tomoyoshi Soga, Yoh-ichi Tagawa
    • 学会等名
      第6回次世代を担う若手医療薬科学シンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2012-11-24
  • [学会発表] スキルワークショップ「研究費申請とライティングスキル」2012

    • 著者名/発表者名
      豊田優
    • 学会等名
      第52回生命科学夏の学校
    • 発表場所
      蒲郡(招待講演)
    • 年月日
      2012-08-26
  • [学会発表] Novel assay system for hepatotoxicity: liver tissue model consisting of primary hepatocytes assembling around an endotheli al cell network.2012

    • 著者名/発表者名
      Yu Toyoda, Yoh-ichi Tagawa
    • 学会等名
      第52回生命科学夏の学校
    • 発表場所
      蒲郡
    • 年月日
      2012-08-25
  • [学会発表] 脂質転移タンパク質STARD10の胆汁酸調節への関与.2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤雅方, 山梨義英, 豊田優, 中瀬古寛子, 杉山篤, 鈴木洋史, 高田龍平, 赤羽悟美.
    • 学会等名
      第126回日本薬理学会関東部会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-07-14
  • [学会発表] ヒトABCC11遺伝子型とアポクリン腺の発達および関連形質の関係.2012

    • 著者名/発表者名
      豊田優, 中川大, 五味常明, 坂井靖夫, 中島正洋, 吉浦孝一郎, 新川詔夫, 高田龍平, 鈴木洋史, 石川智久
    • 学会等名
      第7回トランスポーター研究会年会/JTRA2012
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2012-06-09
  • [学会発表] 脂質転移タンパク質STARD10の胆汁酸調節への関与について.2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤雅方, 山梨義英, 豊田優, 高田龍平, 中瀬古寛子, 杉山篤, 鈴木洋史, 赤羽悟美
    • 学会等名
      第7回トランスポーター研究会年会/JTRA2012
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2012-06-09
  • [備考]

    • URL

      http://plaza.umin.ac.jp/~todaiyak/

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公開日: 2014-07-16  

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