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2012 年度 実績報告書

心不全における炎症の慢性化と組織修復機構

研究課題

研究課題/領域番号 12J03261
研究機関大阪大学

研究代表者

山下 朋美  大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2012 – 2013-03-31
キーワード心筋炎 / 慢性炎症 / 制御性T細胞
研究概要

心不全増悪因子として、心筋慢性炎症の重要性が認識されるようになっているが、急性の心筋炎症が慢性化するメカニズムに関しては、全く知られていない。そこで本研究計画の最初のステップとして、炎症の慢性化機構を理解するという最終目標を達成するために、まず、自然治癒する急性心筋炎症モデルである自己免疫性心筋炎モデル(Experimental autoimmune myocarditis, EAM)を用いて、心筋炎の自然治癒機序を解明することを目指した。EAMモデルは、臨床的にその多くが自然治癒することが知られているウイルス性心筋炎のモデルとなると考えられている実験系である。
私は、これまでEAMの発症にIL-6を介したTh17細胞の分化誘導が重要であることを報告してきた。そこで、まず、Th17/Tregバランスという観点から、EAMにおけるTreg細胞の細胞動態を検討した。その結果、Treg細胞は、Th17細胞と同様に、EAMの発症に伴って炎症をおこしている心筋組織に浸潤することを見出した。また、細胞移植の実験からTreg細胞の心筋炎への浸潤が炎症を抑制することを示した。非常に興味深いことに、Treg細胞の心筋への浸潤はTh17細胞で制御されていることを発見した。
以上の発見は、ウイルス性心筋炎の自然治癒メカニズムを説明付けるものとして重要である。今回見出した自然治癒シグナル系に破綻をきたすことが、心筋炎が心不全へと進展するメカニズムとなる可能性があり、心筋の慢性炎症研究のブレークスルーとなりうる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでウイルス性心筋炎の自然治癒機構は不明であった。本研究成果より、心筋炎が自然治癒する過程の分子メカニズムを新たに提唱できた点で、極めて画期的であり、当初の計画以上に研究が進行したと言える。

今後の研究の推進方策

今後、以下の2点を行う;
(1)今回見出したTh17細胞・Treg細胞相互作用を乱すような介入を行い、心筋炎症の慢性化に関与する分子を同定する。
(2)慢性化をきたしたウイルス性心筋炎の臨床検体において、Th17細胞・Treg細胞相互作用異常を確認する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Therapeutic administration of IL-11 exhibits the postconditioning effects against ischemiareperfusion injury via STAT3 in the heart.2012

    • 著者名/発表者名
      Obana M
    • 雑誌名

      Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol

      巻: 303 ページ: 569-577

    • DOI

      10.1152/ajphear.00060.2012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サトカインと心筋リモデリング2012

    • 著者名/発表者名
      中山博之, 山下朋美, 藤尾 慈
    • 雑誌名

      循環器内科

      巻: 72 ページ: 127-134

  • [学会発表] 実験的自己免疫性心筋炎において制御性T細胞が心臓へ遊走する2013

    • 著者名/発表者名
      鳥居里衣, 山下朋美, 他
    • 学会等名
      日本薬理学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] 制御性T細胞はマウスにおける心筋梗塞後の心筋リモデリングを改善する2013

    • 著者名/発表者名
      多賀詩織, 山下朋美, 他
    • 学会等名
      日本薬理学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] 抗菌ペプチドCathelicidin antimicrobial peptideはP2X7受容体を介したシグナルにより心線維芽細胞の遊走を阻害する2013

    • 著者名/発表者名
      熊谷渉平, 中山博之, 松井一樹, 川口晴世, 宮脇昭光, 山下朋美, 藤尾 慈
    • 学会等名
      日本薬理学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] 心筋におけるCaMKIIβの活性化は心不全を引き起こす2013

    • 著者名/発表者名
      輪島こまゆ, 中山博之, 濱谷辰斗, 松浪佐知, 熊谷渉平, 山下朋美, 藤尾 慈
    • 学会等名
      日本薬理学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] Treg is recruited into myocardium through Th17 pathway as a negative feedback in autoimmune myocarditis2012

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Yamashita, et al.
    • 学会等名
      American Heart Association(Scientific Session 2012)
    • 発表場所
      ロサンゼルス(米国)
    • 年月日
      20121102-20121109

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公開日: 2014-07-16  

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