研究課題/領域番号 |
12J03276
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 周祐 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ワンポット反応 / コアシェル触媒 / 過酸化水素直接合成 / Pd触媒 / Ti含有メソポーラスシリカ |
研究概要 |
一つの容器内で複数の反応を同時進行させる"ワンポット反応"は省エネルギーな反応方法として近年注目されている.本年度はワンポット反応の高効率化を目的とし、コアシェル触媒の作製、およびコアシェル触媒のワンポット反応特性について検討を行った。具体的にはPd触媒による過酸化水素合成と生成した過酸化水素を利用したTi含有メソポーラスシリカ触媒によるスルフィドの酸化反応からなるワンポット酸化反応について、Pd/SiO_2@Ti含有メソポーラスシリカコアシェル触媒を作製し、コアシェル構造によるワンポット酸化反応の高効率化について検討した。Pd/SiO_2@Ti含有メソポーラスシリカは球状シリカ粒子にPd粒子を無電解析出法により担持し、これにTi含有メソポーラスシリカシェルを形成することで作製した。TEM観察や窒素吸脱着測定等により、意図したコアシェル構造となっていることを確認した。ワンポット酸化反応評価の結果、コアシェル触媒は従来触媒(Ti含有多孔質シリカにPd触媒を担持した触媒)に対し3倍以上の反応活性を示し、コアシェル構造がワンポット反応に有効な構造であることを明らかにした。また、シェル部分について、細孔径やシェルの厚みを制御することで反応活性のさらなる向上に成功した他、フェノールのワンポット酸化反応においても同様にコアシェル構造が有効であるなど、汎用性の確認も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた,コアシェル構造の精密制御によるワンポット反応の高効率化や,汎用性の確認を達成できた.また,フェノールのワンポット酸化おいては,反応条件によってはフェノールから2-シクロヘキセン1-オンが生成することを発見するなど,新規な知見を見出すことにも成功した.
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今後の研究の推進方策 |
研究者の博士課程修了と就職により,本研究は一旦終了となる.シェル構造の制御だけでなくコア材の変更や,ワンポット反応の多段化,ワンポットエポキシ化への応用など,研究課題は多く残っており,いずれ再開の予定である.
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