研究課題/領域番号 |
12J03338
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平島 剛志 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(PD) (10620198)
|
研究期間 (年度) |
2012 – 2014-03-31
|
キーワード | 数理モデリング / ライブイメージング / 内臓の形態形成 / 精巣上体細管の発生 / 尿管芽 / 多細胞動態 |
研究概要 |
分岐器官の形態形成を支える多細胞動態の理解を深めるために、平成25年度は、主にマウスの精巣上体管や尿管芽の発生過程に注目し、蛍光リポーターマウスを用いたライブイメージングや画像統計処理、数理モデルを組み合わせることで、管組織の変形に必要な細胞分裂や細胞移動の時空間分布を定量的に理解することを試みた。具体的に以下の2つの小課題を遂行した。 一つ目は、精巣上体管の形態形成機構の解明である。管組織の変形が比較的簡単な系としてマウスの精巣上体管の発生過程に着目し、細胞レベルでの動態との対応づけを試みた。平成25年度には、マウスの精巣上体の発生過程において、胎生15日目を起点に頭側から順序よく折れ畳まることを明らかにし、この局所的な折れたたみが頭尾軸に沿った細胞分裂頻度の相対的な違いによって引き起こされることを明らかにした。また、数理モデリングと検証実験の結果から、局所的に頭側で折れたたまる精巣上体管の形態形成の要因を明示した。要因の一つとして、上皮管とその周囲組織との力学的な相互作用がかたちを決めるのに重要であることを実証した。これらの結果は、国内外での学術集会にて発表され、現在学術雑誌への投稿準備中である。 二つ目は、尿管芽や精巣上体管の細胞動態のライブイメージングである。平成25年度には、全身の細胞膜動態を蛍光観察可能なマウスの精巣上体管のライブイメージング系の確立を行った。胎生15日目から17日目のマウスの精巣上体を精巣から分離し、コラーゲンゲルで培養皿上に圧着させることで、安定な組織のイメージング系を確立した。これを正立型共焦点顕微鏡システムLSM780 (ZEISS)で観察した。この結果、隣接細胞間の入換えや、細胞分裂時に内腔側へ寄って分散するような特徴的な挙動が観察された。申請書の記載通り、全ての研究において申請者自身でデータを取得し数理モデリングを行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的に掲げた細胞運動のイメージング・測定と取得データを活用した数理モデリングを申請者自身で行うことができているため。また、予定通り、これらの研究結果は既に投稿準備に入っているため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた蛍光イメージか画像・統計処理を用いることで、多細胞動態を表現可能な数理モデリングへと研究をつなげること。
|