研究課題/領域番号 |
12J03455
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安藤 俊範 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 骨肉腫 / Ameloblastin |
研究概要 |
本年度は、Ameloblastin (AMBN)が骨肉腫に及ぼす影響として、以下のようなin vitro、in vivoおよび臨床病理学的解析を行った。 1) In vitroでの解析 a) AMBN過剰発現が、骨肉腫細胞の細胞死を誘導する作用機序に関して 今回新たにAMBNを安定的に高発現する143B-Luc細胞を樹立したことで、この細胞の増殖が有意に抑制されていることが示された。AMBN高発現株の143B-Luc細胞では、FACS解析にてSubG1期の増加、Annexin Vを用いたapoptosis assayにてApoptosisの増加が示され、さらにWestern blotにてCaspase-3の活性化が認められ、アポトーシスが誘導されていることが明らかとなった。 b) AMBN過剰発現が、骨肉腫細胞の抗がん剤への感受性に及ぼす影響に関して AMBN高発現株の143B-Luc細胞は、アドリアマイシンの併用により、コントロールに比べ、より多数の細胞がアポトーシスを示し、抗がん剤への感受性が亢進していることが明らかとなった。 2) In vivoでの解析 コントロールの143B-Luc細胞と、AMBNを一過性に過剰発現した143B-Luc細胞をヌードマウスに接種し、腫瘍の増大・転移をluciferinを用いたin vivo imaging assayおよび病理組織学的に解析した。結果として、コントロール群に比較して、AMBN過剰発現群は原発巣での腫瘍径と肺転移の有意な抑制を示した。 3)骨肉腫患者の生検標本を用いた臨床病理学的解析 AMBNの発現は、肺転移と負の相関、予後と正の相関存示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、in vitroとin vivoの実験両方で、当初の計画通りに実験が進み、良好な結果が得られている。今後も計画通りに実験を進めて行く。
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今後の研究の推進方策 |
1) in vitroの実験では、AMBN過剰発現が細胞死を誘導し、抗がん剤への感受性を促進することが明らかとなった。今後は上記の現象とAMBN-CD63-Integrin-Srcの経路との関連について、分子メカニズムを詳細にしていく予定である。 2) In vjvoの実験では、AMBN過剰発現により腫瘍の増大抑制、肺転移の抑制が示されたが、AMBNの過剰発現が一過性であったため、AMBNを安定的に高発現する143B-Luc細胞を用いて再度同様の実験を行うと共に、アドリアマイシンを併用する群を追加することで、更なる臨床的意義を高めた実験を行う予定である。 3) AMBNの発現異常のメカニズムに関して、転写レベル、翻訳後レベルでの解析を進める予定である。
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