研究課題/領域番号 |
12J03457
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
島津 侑希 名古屋大学, 国際開発研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 教育開発 / 農業普及員 / 職業技術教育・職業訓練 / ジェンダー / 農村女性 / エチオピア / ATVETカレッジ / カリキュラム |
研究概要 |
現在、エチオピア国政府は農村女性の農業普及参加を重視しており、最新の国家開発5力年計画でも参加率増加が明記されている。しかし、未だ農村女性の参加率は低い。先行研究では文化的・社会的な阻害要因の一つとして、農業普及員の性別が男性ばかりであることが挙げられている。そこで本研究では、女性農業普及員に注目する。本研究は、農業普及員育成機関であるATVET大学校で取得された知識・技術が、女性農業普及員を通って農村女性へ伝えられるまでの過程を分析する。よって、1)女性農業普及員のATVET大学校からの知識・技術習得方法および過程、2)女性農業普及員から農村女性への知識・技術移転方法および過程、の二段階を見る。 今年度は4月~6月に現地大学(アディスアベバ大学)に所属し、学術論文およびエチオピア政府・国際機関・現地NGOなどが提供している資料を収集した。また、同時に一度目の現地調査を行い、農村女性および農業普及員への聞き取りを行った。現地に長期滞在することができたことで、文献のみからは得ることができない、その土地の生活習慣・文化・女性の役割などを観察することができた。聞き取り調査を行った結果、農村女性は女性農業普及員に対して、男性農業普及員よりも自分たちの現状を理解して積極的にコミュニケーションを取ってほしいと考えており、男性農業普及員よりも質問しやすい・付き合いやすい立場にいることへの期待が大きかった。しかし、今回のアンボ郡・ワルメラ郡では、女性農業普及員特有の役割というものは見られなかった。また、両郡において、性別による農業普及員の活動内容の違いは見られなかった。一度目の調査を通して、女性農業普及員の数を増加させるだけでは女性農家の農業普及への参加向上には繋がらず、ATVETカレッジでどのように農業普及員をジェンダー配慮ができるように育成するかの重要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年4月~6月まで現地調査を行い、農村部にて女性農家および農業普及員へ聞き取り調査を行った。 その結果をまとめ、国際教育研究フォーラム・国際開発学会第23回全国大会・第11回アフリカ教育研究フォーラムにて報告を行った。また、アフリカ学会でも口頭発表することが確定している。しかし、論文として発表するまでには至っていないため、当初の計画よりはやや遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は農業普及員を育成する際に、「男女平等」という考えのみではなく、「男性と女性の違いを理解した上で農業普及を行う」という視点を入れることが必要ではないかという視点から、ATVETカレッジでジェンダーがどのように扱われているかについて調査を行いたいと考えている。
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