研究課題/領域番号 |
12J03494
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平野 夢香 名古屋大学, 国際開発研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 貧困削減 / 格差 / 援助効果 / 開発 / 制度 / グローバリゼーション / 実証分析 / 事例分析 |
研究概要 |
本研究ではグローバリゼーションの進展において世界の貧困削減と格差是正を達成する為に、効果的な開発戦略、開発援助の役割について政策提言をすることを目的とし、実証分析と事例分析を行う。2015年以降の国連開発目標策定に向けて、国際機関、各国政府、市民団体、開発研究者等の間では、貧困削減や格差の課題、援助のあり方についての議論に、特にここ2-3年注目がなされている。本研究成果による論文出版、国内外の学会や国際会議での発表は、これらの議論に貢献しており、社会に生かされる研究として重要な位置づけにある。 今年度は関連文献精査、国内外の学会・セミナー参加や現地調査(海外9カ国、国際機関援助戦略担当、政府関係当局、援助実施機関、日系企業、途上国地場企業関係者を対象としたインタビュー調査)等による情報収集、それらに基づいた分析フレームワーク検討・モデルの構築、データベース作成、実証分析(クロス・カントリー分析)を行った。そして、実証分析結果を国内外の学会にて発表し改善した上で、2本の論文に纏め出版した。 実証分析から得られた具体的な示唆は、貿易統合は貧困削減におおよそ中立であり、海外直接投資は、マイナスの影響、海外送金はプラスの影響をもたらす傾向があること、制度の質は、全体の経済成長にはプラスに効くが、格差にマイナスの効果があることである。また、短・中・長期の分析結果比べ、政策の効果は中期で効果を及ぼすことに対し、制度の質は長期で効果を及ぼす傾向にあることが示された。この結果は、開発援助において長期の制度構築支援の重要性を示唆するものとなる。この結果をもとに、二つ目の分析として、援助の効果について検証を進めている。 来年度は、実証分析で得られた結果の整合性を高める為、特有の効果が高い国を対象に現地調査を実施し、調査結果をもとに事例分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の実施計画に記載の通り、文献精査、手法サーベイ、実証分析を進め、実証分析結果を国内外の学会で発表、改善プロセスを経て、2本の論文にまとめ公開することができた。事例分析の為の現地調査については、実施時期を3月から4-5月に延期したものの、研究全体についておおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
多様な変数を用いて援助効果の実証分析を更に進め頑健生テスト等を行った後、結果を論文にまとめる。論文を学術ジャーナルに投稿し、来年度中に出版できるよう研究を進める。 また、平成25年度前半に事例分析の為の現地調査を実施できるよう、調査対象国の情報収集や調査アレンジメント等の準備引き続き行う。実証分析で得られた結果の整合性を高める為、特有の固定効果が特に高い国を対象に現地調査にて(エチオピアとベトナムを予定)半構造的インタビューを行う。現地調査後は、調査結果を実証分析結果と結びつけながら博士論文の1章として纏める予定である。
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