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2012 年度 実績報告書

うつ病性障害・不安障害に見られる衝動的行動に有効な認知行動的介入方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12J03533
研究機関早稲田大学

研究代表者

兼子 唯  早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード不安障害 / 気分障害 / 衝動性 / 認知行動療法
研究概要

うつ病性障害と不安障害は,精神障害の中で最も有病率の高い障害であり,医学的障害の中で日常生活への支障度が最も高いこと,とりわけ自殺率を高めることが指摘されている。自殺の要因として,衝動的行動特性が関与している可能性が挙げられる(Turecki, 2005)。また,自殺に限らず,暴力や他者への攻撃,賭博,衝動買いといった「内的あるいは外的な刺激に対して拙速で無計画な反応を,自他への影響を考慮せずに行う行動(衝動的行動)」は,うつ病性障害・不安障害患者に多く見られることが報告されている(Kirsten et al., 2011)。しかし,これまでうつ病性障害・不安障害患者を母集団として衝動的行動に焦点をあてた研究は少なく,介入方法の検討も行われていない。
そこで本年度は,まず,不安障害の近年の知見,来年度から施行予定の診断基準に関する動向,不安障害の衝動性について先行研究を詳細にレビューし,研究計画を精緻にすると共に,共著として学会誌・書籍へ発表した。この結果,不安障害と衝動的行動を特徴とする精神障害の併発率が高く,そうした精神障害を悪化させる可能性が高いこと,さらに不安障害の治療を受けている者が少ないことを示すことができた。これまで不安障害に伴う衝動性について言及した文献は少ないことから,不安障害と衝動性の関連についての記述的レビューには意義があると考えられる。次に,実験課題で必要な物品の準備,課題作成に必要な技術の習得を行った。また,うつ病患者を対象とした認知行動療法,衝動性を主要な特徴とする双極性障害と不安障害を併発する患者を対象とした認知行動療法を実施し,その結果を国内学会にて発表し,うつ病性障害・不安障害に見られる衝動的行動への介入に必要なコンポーネントの準備を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに,不安障害について先行研究を詳細にレビューし,実験計画の詳細な方法について再検討したこと,研究計画に含まれる実験実施に必要な技術の習得を行ったこと,うつ病性障害・不安障害へ既存の認知行動療法を実施し,うつ病性障害・不安障害に見られる衝動的行動へ焦点をあてた介入の必要事項を検討したことが実施された。これらの点は,いずれも当初の計画を進めていく上で重要な点であり,順調に研究を遂行していると判断できる。

今後の研究の推進方策

来年度以降は,(1)衝動的行動を測定する実験課題を作成し,衝動的行動の実験課題と抑うつ症状・不安症状を測定する調査を実施する,(2)うつ病性障害・不安障害に見られる衝動的行動への介入に必要なコンポーネントの準備を継続する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 不安障害研究鳥瞰-最近の知見と展望-2013

    • 著者名/発表者名
      貝谷久宣・土田英人・巣山晴菜・兼子唯
    • 雑誌名

      不安障害研究

      巻: 4 ページ: 20-36

  • [雑誌論文] 不安障害の社会的重要性2012

    • 著者名/発表者名
      貝谷久宣・兼子唯・正木美奈
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 21 ページ: 507-515

  • [雑誌論文] 各論DSM-5ドラフトにおける精神障害 5.不安障害2012

    • 著者名/発表者名
      貝谷久宣・兼子唯・鵝山晴菜
    • 雑誌名

      臨床精神医学

      巻: 41 ページ: 577-587

  • [雑誌論文] 心理士による集団認知行動療法がうつ病患者のうつ症状の改善に及ぼす効果 : 対象比較研究2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤大輔・兼子唯・巣山晴菜・金谷順弘・田上明日香・小関俊祐・貝谷久宣・熊野宏昭・鈴木伸一
    • 雑誌名

      行動療法研究

      巻: 38 ページ: 169-180

    • 査読あり
  • [学会発表] 「不安障害と双極性障害J SAD and Bipolar Disorder2012

    • 著者名/発表者名
      兼子唯・鈴木伸一・貝谷久宣
    • 学会等名
      第14回八ヶ岳シンポジウム
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ(東京都)
    • 年月日
      2012-11-03
  • [学会発表] うつ病に対する集団認知行動療法におけるドロップアウトをする患者の治療前の状態に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      兼子唯・巣山睛菜・伊藤大輔・貝谷久宣・熊野宏昭・鈴木伸一
    • 学会等名
      日本行動療法学会
    • 発表場所
      立命館大学(京都府)
    • 年月日
      2012-09-23
  • [学会発表] Comparison of Attention Processes in Patients with Social Anxiety Disorder between Different Dimensions2012

    • 著者名/発表者名
      Kaneko, Y., Yamada, K., Yoshida, E., Suzuki, S., Kaiya, H.
    • 学会等名
      42nd European Association for Behavioural and Cognitive Therapies
    • 発表場所
      Geneva, Switzerland
    • 年月日
      2012-08-30
  • [図書] 「嘔吐恐怖症」第1章特定の恐怖症2013

    • 著者名/発表者名
      貝谷久宣・兼子唯
    • 総ページ数
      32
    • 出版者
      金剛出版
  • [図書] 「認知行動療法・薬物療法臨床ガイドブック」第6章双極性障害への併用療法, 第7章不安障害への併用療法(翻訳)

    • 著者名/発表者名
      兼子唯
    • 出版者
      金剛出版(印刷中)

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公開日: 2014-07-16  

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