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2012 年度 実績報告書

新奇スフィンゴ糖脂質分解酵素群を利用した糖脂質代謝機構の解明及び創薬への応用

研究課題

研究課題/領域番号 12J03574
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

澄田 智美  独立行政法人理化学研究所, 生命分子システム基盤研究領域, 特別研究員(PD)

キーワードスフィンゴ糖脂質 / 糖脂質分解酵素 / ガングリオシド / グリコシダーゼ / 結晶構造解析
研究概要

スフィンゴ糖脂質の代謝に関わる酵素の基質認識の詳細な解析は、スフィンゴ糖脂質代謝異常症の治療薬の開発に対して基礎的研究となる。本研究では糖脂質に作用する微生物由来の新規グリコシダーゼの立体構造を高分解能で解析することにより、スフィンゴ糖脂質代謝異常症の治療薬開発に新しい情報を提供することを目的としている。今年度は糖脂質に作用する新規グリコシダーゼの諸性質の検討を行い、結晶構造解析を行うためのタンパク質発現・精製条件の検討および結晶化スクリーニングを行った。糖脂質に作用する新規ガラクトシダーゼの諸性質の検討を行った結果、本酵素は単独でガングリオシドGM1aをGM2に分解した。界面活性剤を加えるとさらに分解活性が上がるが、界面活性剤非存在下や補酵素なしの条件下でもGM1aを分解した。さらに、ラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミドにも作用した。このように補酵素や界面活性剤非存在下でGM1aに作用する微生物由来の酵素はこれまで発見されていないため、非常に興味深い酵素である。本酵素は既報の酵素に比べて遺伝子配列のC末端側が長い酵素であった。また、既報の酵素とは異なるドメイン配列が存在した。これらの特異的な配列が糖脂質の認識に関わっているのかどうか、様々なコンストラクトを作成して現在検討中である。また、新規グリコシダーゼの結晶構造解析を行うために、上記ガラクトシダーゼと、新規ガラクトサミニダーゼの大量発現・精製条件を検討し、酵素を高収率、高純度で精製する方法を確立した。その酵素を用いて数百種類の結晶化スクリーニングを行った結果、微結晶を観察することができた。しかし、現在までに構造解析可能な単結晶は得られていない。そのため、結晶化条件の検討や、結晶化に適する、より安定で高純度な酵素の精製を行うための発現ベクターのコンストラクトの変更等行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

グリコシダーゼの諸性質の検討に関しては、新規グリコシダーゼのクローニング、発現ベクターの作製を行った。本研究室での精製、活性測定等実験体制を整えることができ、実際に糖脂質に作用すること、発色試薬を用いた活性測定条件等も確定することができた。既報の酵素との比較により、さらにコンストラクトの変更等、少し実験データを足す必要が出てきたが、データを足すことで興味深い結果が得られることを期待している。また、結晶構造解析においては数百種類のスクリーニングを行ったが、微結晶しか得ることができず、X線照射で反射データの得られる結晶は作製できていない。微結晶の得られた条件付近でリファイメントを行ったが、結晶はまだ大きくなっていない。さらなる条件検討を行い、結晶を大きくしていきたい。

今後の研究の推進方策

糖脂質分解酵素の精製条件、および活性の測定条件が確定したので、その条件に従い、種々の変異体酵素を用いて活性測定を行い、糖脂質分解に重要なサイトを決定していく。また、結晶構造解析に用いる酵素の発現系を新たに構築しなおしたので、その発現ベクターを用いて今後、精製・結晶化を行う。これまでのコンストラクトと比べて、余分な配列を削ったり、タグを切断したり、精製バッファーの組成を変えたりと、より安定に酵素を精製できる条件を検討している。また、酵素単独での結晶化だけでなく、基質等との複合体での結晶化スクリーニングの場合でのみ結晶が出ることも考えられるため、様々な条件で結晶化スクリーニングを試す予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Paenibacillus sp. TS12株由来のβ-ヘキソサミニダーゼの糖脂質代謝機構の解明及び阻害剤認識メカニズムの解明2012

    • 著者名/発表者名
      澄田智美
    • 学会等名
      第85回日本生化学会年会
    • 発表場所
      マリンメッセ福岡(福岡市)
    • 年月日
      2012-12-15

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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