研究課題/領域番号 |
12J03587
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小山 美緒 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 光渦 / ファイバーレーザー / 高出力レーザー |
研究概要 |
本研究では、Yb添加ファイバー増幅器を用いて、高品質・高出力な光渦レーザーを発生させることを目的としている。さらに高出力光渦レーザーを光源に用いた波長変換により、光渦の波長領域を拡大する。 光渦レーザーは共振器の固有モードではないため、計算機ホログラムなどの回折光学素子を用いた発生方法が主流であった。しかしホログラム自体の損傷閾値や回折損失が障害となり高出力な光渦レーザー発生は困難であった。後に共振器内部にホログラムを設置することで光渦レーザーを増幅した例があるが、ホログラムの配置誤差や増幅媒質内に生じる熱レンズ効果が、光渦の空間モード品質に大きな影響を及ぼしてしまう。そこで、本研究で着目したのはYb添加ファイバー増幅器を用いた高出力光渦レーザー発生である。Yb添加ファイバーは長い相互利得長により、伝搬損失や空間変調損失をはるかに超えるレーザー増幅が可能である。同時に、ファイバーに対して圧力を加えることによりファイバー内を伝搬するレーザーの位相を制御し、光渦モードを発生させる。 平成24年度においては、ナノ・ピコの二つの時間幅において、加圧Yb添加ファイバー増幅器による波長1.06μmの高出力・高品質光渦パルスレーザー発生を行った。高励起時にファイバー端面に発生する熱の制御のための水冷ユニットを構築し、高輝度LDによるファイバー増幅を可能にした。得られた高出力光渦レーザーは高出力値を記録したため、学術論文として報告する予定である。次年度は得られた高出力光渦レーザーを光源とし、光渦の波長変換を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加圧ファイバー増幅器により、光渦レーザーは最大出力40Wに達した。ファイバー増幅器を励起するCWLDをより高輝度にすることに加え、高励起により発生する端面の熱による空間モードの変調やファイバーの損傷を防ぐための冷却ユニットを設計し、ファイバー増幅器に取り付けた。それにより、高出力光渦レーザーの出力値・空間モードを安定させることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は光渦レーザーの波長変換を行う。光源は平成24年度に作成した、Yb添加ファイバー増幅器を用いた1μm高出力光渦レーザーを用いる。波長変換は非線形効果を伴う現象であり、変換後の出力は励起光源の出力の2乗に比例する。高出力光渦レーザー光源を用いることで、高変換効率・高出力な532nm光渦レーザーが得られると予想される。問題となる光渦の位相特異点の分離を防ぐために、Walk-off効果の少ないノンクリティカルフェイズマッチングのLBO結晶を用いる予定である。
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