研究課題/領域番号 |
12J03596
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
尹 シセキ 名古屋大学, 大学院文学研究科, 特別研究員DC1
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キーワード | 松本清張 / 日本の黒い霧 / 内幕 / 記録文学 / 日中文化交流 / 朝鮮戦争 / 現代史 / 井上靖 |
研究概要 |
平成25年度は、松本清張ブームと同時代日本のメディアとの関係を続けて考察しながら、中国における松本清張の翻訳を調査した。 まず、「日本の黒い霧」を中心に、松本清張の現代史ノンフィクションを分析した。1950年代以降の記録文学と「内幕もの」が盛んになった中で、松本清張のノンフィクションが同時代の読者にいかなる「情報を読む方法」を提示したかを論じた。 それから、1960年代の日中文化交流活動を調査し、日中文化交流協会と松本清張との関わりを明らかにしながら、中国側の資料を収集し、翻訳者文潔若などにインタビューを行い、松本清張のテクストが同時代の日中間文化交流活動においていかなる意味を持っていたかを論じた。 さらに、松本清張との比較として、同じく1960年代に日中文化交流に深くかかわった井上靖の中国を題材にした小説を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次計画の一年目、二年目の計画は、具体的な実施課程が異なるが、計画当時の目標を大体達成している。つまり、日本の同時代メディア状況と松本清張ブームとの関係、中国のメディア状況と中国における松本清張ブームとの関係に対する考察はかなり進んだと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、中国における松本清張ブームをさらに考察しながら、日中両国の松本清張ブームと映像メディアとの関係を調査したい。 具体的には、1960、80年代の中国における「読書」の形態を資料調査を通して明らかにした上で、松本清張ブームが起きた理由などを考えることと、日中両国の映画鑑賞、テレビ鑑賞の同時代状況を調査して、松本清張ブームと映像メディアとの関係を見出したい。
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