研究課題/領域番号 |
12J03623
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横森 大輔 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 相互行為言語学 / 会話分析 / 機能主義言語学 / 日本語 / 話し言葉 / コーパス |
研究概要 |
採用第1年目である平成24年度は、<分析に使用するデータの整備と拡充>、<会話分析の手法を用いた文法研究のフレームワークの精緻化>、<会話分析の技能の研鑽>といった、3年間の研究プロジェクトの基礎固めに重点的に取り組みつつ、データ分析を進めた。 まず、既に収録していたデータに加え、合計およそ12時間分の日本語会話を新たに収録し、既存のデータと新規データのいずれについても書き起こしを行った。 また、会話分析の研究枠組みを文法研究に利用することの特徴と意義について論点を整理し、社会言語科学会第30回大会におけるワークショップ『会話分析のスペクトラム』の中で発表し、また愛知教育大学日本語教育コース講演会にて招待講演を行った。 平成24年度中には、会話分析の分野の第一線で活躍する先導的な研究者が相次いで来日し多くのワークショップが数催されたが、これらに参加して会話分析のスキルを向上させることができた。 データ分析としては、日本語話し言葉の文末表現のうち、特に「カラ・ケド・ノ」に焦点を当てて、連鎖環境の観点からの分類を行った。このデータ分析の成果の一部は、上述の研究発表などに組み込まれている。また、関連現象の分析として、接続助詞ケドの多様な用法について相互行為の視点から再考した論考を『言葉の創発と身体性』(児玉一宏・小山哲春(編)、ひつじ書房)に寄稿した。さらに、日本語話者による英語発話に見られる構造的特徴の分析も行い、研究発表を行った。 加えて、認知・機能主義言語学の研究に従事する若手研究者が、互いの最新の研究について議論を深め、また交流の場となることを目的として、『認知・機能主義言語学ワークショップ』(9月24日、名古屋大学)を企画し、事前準備と当日の進行役を担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の「研究の目的」に記載したように、会話データの整備および拡充を行った上で、いくつかの日本語文末表現(カラ・ケド・ノ)について、連鎖環境のタイプごとに事例の分類を行う作業を進めており、その成果の一部を論文および学会発表にて公表している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに分析を行っている文末表現(カラ・ケド・ノ)の連鎖環境ごとの振る舞いの違いについて、論文として取りまとめる。また、それ以外の文末表現(ヨ・ネ・ナ・モン)について会話データの中での出現環境のタイプを特定し、分析を進める。
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