研究課題/領域番号 |
12J03667
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 央 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
|
キーワード | 急性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / 対称性分裂 |
研究概要 |
研究代表者は、ヒト白血病の臨床検体および正常骨髄検体を収集し、表面マーカー上、Lineage-CD34+CD38-を示す、白血病幹細胞分画(LSC)(正常検体は造血幹細胞分画(HSC))を分離した。急性骨髄性白血病(肌)7例、慢性骨髄性白血病(CML)2例、骨髄異形成症候群(MDS)2例、急性リンパ性白血病(ALL)1例であった。単離した上記白血病幹細胞分画および、CD34+CD38+で示されるより分化した細胞分画を、一晩培養し、分裂した細胞のCD34およびCD38の発現パターンを蛍光顕微鏡で観察した。その結果、HSCおよびAMLのLSCでは、非対称性分裂(娘細胞のうち1つがCD34+CD38-、もう1つがCD34+CD38+を示す)に大きな相違が見られた。HSCおよびCMLのLSCでは非対称性分裂が6.1±0-9%であったのに対して、肌のLSCでは23.5±11.5%(P=0.027)であった。一方、CD34+CD38+のやや分化した分画では正常検体の非対称性分裂が16.3±2.4%に対して、AML検体では17.6±14-7%(P=0.88)と有意差は認められなかった。LSCにおいて非対称性分裂が亢進していることは当初の仮説である、対称性分裂の亢進とは異なるが、何らかのLSC特有の生物学的背景によるものと考えられ、その分子基盤を明らかにすることはLSCをターゲットとした治療に結びつくと期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24例のヒト白血病検体および、正常骨髄検体を採取し、当初の目的どおり、白血病幹細胞分画の細胞分裂の対称性の観察を行い、急性骨髄性白血病症例では、白血病幹細胞の非対称性分裂がy進していることが確認された。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス白血病モデル(MLL-AF9融合遺伝子による)を作成し、ヒトで観察された非対称性分裂の亢進がマウス白血病幹細胞分画でも認められるかを確認する。さらにその分子メカニズムを検討するため、非対称性分裂に関わる各種遺伝子のノックダウン、阻害を行う。
|