研究課題/領域番号 |
12J03786
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西山 美久 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ロシア / 愛国主義 / 官製青年組織「ナーシ」 / 青年層 / プーチン政権 / 政策形成過程 |
研究概要 |
本研究は、プーチン政権下で奨励された「愛国主義」政策ならびに政権中枢によって設立された官製青年組織「ナーシ」の動向を検討することで、政権が求める「若者像」を浮き彫りにし、その上で青年層が政策に対していかなる「主体性」を発揮してきたのかを明らかにするものである。 本年度は、プーチン政権下で奨励された「愛国主義」の政策形成過程に関する種関連文献(日本語、ロシア語、英語)を収集した。また、本年度の4月から6月までサンクトペテルブルグ国立大学を拠点として研究活動を行いながら、ロシア国民図書館などで地方の刊行物を集中的に読み込む作業も行った。それらの成果を踏まえて、「プーチン期における『愛国主義』政策の形成過程:連邦構成主体からのイニシアティヴに着目して」が『政治研究』(九州大学政治研究会)第60号に掲載された。本論文は、「愛国主義」政策の形成過程に着目し、その過程で地方からの圧力が存在したことを浮き彫りにすることで、現代ロシアにおける政策形成過程の見取り図を示した。 また、その作業と並行して、官製青年組織「ナーシ」についても資料収集を進めてきた。本年度では、組織でいかなるイデオロギー教育が行われているのかを中心に検討した。特に、組織の設立以来、毎年行われているサマー・キャンプに参加している政治学者の著作や彼らがサマー・キャンプで実際に行ったレクチャーを検討することで、いかなる事柄が「ナーシ」のメンバーに教え込まれたのかを明らかにした。なお、これについては現在論文を執筆中であり、次年度以降に研究成果を発表するつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
政権が求める「若者像」を明らかにする前提として、官製青年組織「ナーシ」でいかなる事柄がメンバーに教え込まれたのかを各種関連文献を用いて検討した。なお、これについて次年度以降に成果を発表する予定である。また、「愛国主義」政策の形成過程を見ていくことで、いかなる目的で政策が作られたのかを明らかにした。当初の計画通りにではないものの、おおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、青年層の「主体性」をより明らかにするために、「愛国主義」政策や官製青年組織でなされている愛国教育から政権の求める「若者像」だけを検討するのではなく、実際に組織のメンバーがいかなる目的に基づいて組織に加入し、組織の活動を行っているのかを中心に検討していきたい。また、青年層一般の政治社会意識についても検証したい。そのため、次年度以降も引き続き関連する文献を収集していく。
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