研究課題
本年度は高アスペクト比翼のフラッタ解析を目指して、埋め込み境界法に基づく壁面乱流モデルについて実問題への対応を図るとともに、同手法に基づく移動物体問題の解法を高レイノルズ数流れに拡張した。さらに大規模非定常解析における出力データサイズの課題を解決すべく、後処理としてのデータ圧縮法を提案・導入し、流体解析と後処理を統合した解析環境を構築した。壁面乱流モデルは基本的な流れにおいて有効性を確認してきたものの、工学的な立場からは圧力勾配のある流れ場が重要視される。そこで圧力勾配を考慮できる一般化壁関数を導入することで実問題への対応を図った。平板乱流境界層の計算を通じた検証ののち、高アスペクト比翼と航空機主脚の解析に壁関数を適用し、その効果を検証した。移動物体問題の解法についてはその適用が低レイノルズ数流れにとどまっていたことから、本課題で対象とする高レイノルズ数流れへの拡張を行った。ピッチング運動する翼型周りの流れ計算では、迎え角が増すにつれて揚力・抗力係数が増加し、その推移から解法の妥当性を検証した。さらにフラッタ運動を模した高アスペクト比翼の移動解析では、移動に伴う流れ場の変化および係数の変動を確認した。大規模非定常解析の取り組みの中で膨大な出力データサイズが課題となったことから、直交格子法の特徴を活かしたデータ圧縮法を提案・導入することで解決を図った。格子点数約2億点を用いた翼ボルテックスジェネレーターの大規模非定常解析において、データ品質を維持したままデータサイズを元データの7%程度まで削減し、圧縮法の有効性を示した。
(抄録なし)
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International Journal for Numerical Methods in Fluids
巻: Volume 73 Issue 5 ページ: 462-476
10.1002/fld.3808