研究課題/領域番号 |
12J03852
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
斎藤 千恵子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | アセトアミノフェン / 初代肝細胞 / ギャップジャンクション / 細胞死 |
研究概要 |
細胞死の研究において、1つの細胞がその接触する細胞とどう関係して死んでいくかという観点で研究を進めた。我々はマウスから肝細胞を単離し、過剰量のアセトアミノフェン(APAP)で肝細胞死を引き起こし、接触している細胞同士がどのように細胞死を引き起こすかという事をタイムラプス顕微鏡により経時的に観察した。 APAPに対する感受性が異なる雌雄マウスから肝細胞を採取し、混合して、APAP処理後のカプレット(2つの接触する肝細胞)を観察した。すると、APAPへの感受性が低い雌の肝細胞と接触した雄の肝細胞は、APAPへの感受性が高い雄の肝細胞と接触している雄の肝細胞より、APAP処理後25時間の生存率が著しく上がった。一方、雌の肝細胞と接触はしていないが近くに存在しているという状態の雄の肝細胞の生存率は、雌の肝細胞を混合させていない場合とほぼ同様であった。以上の事からAPAPによって接触している肝細胞は同期して死ぬという現象はギャップジャンクションを介しておりパラクラインシグナルが関与している可能性は低いのではないかと考えられた。 次に、APAPが引き起こす肝細胞死に酸化ストレスが関与していることはよく知られているため、抗酸化作用を持つグルタチオン(GSH)を蛍光色素で検出した。その結果、1)APAPへの感受性が高い雄の肝細胞では、APAPへの感受性が低い雌の肝細胞に比べて、全体的にGSHの含有量が低かった。また2)接触している複数の肝細胞のグループ内は、それぞれの肝細胞のGSH含有量が近いが、ギャップジャンクションが機能していない肝細胞のグループは、GSHの含有量がそれぞれの肝細胞で異なる傾向にあるという事が観察された。接触している肝細胞間では、APAP刺激により同期して死ぬという現象において、GSH以外の物質が関与している可能性を排除できなかったが、少なくともGSHは関与しているだろうことが示唆される。以上の結果を論文にまとめ現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際に何が細胞間を行き来しているのかという事を明らかにすることはできなかったが、少なくともGSHが関与しているであろうことが示唆されたデーターを示す事ができたので。
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今後の研究の推進方策 |
今後、より具体的に何の物質が2つの接触する細胞間において行き来し、細胞死に関係しているかという事を明らかにしていけたらと思う。
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