研究課題/領域番号 |
12J03899
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
江川 達郎 豊橋創造大学, 保健医療学部, 特別研究員(PD)
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キーワード | AMPキナーゼ / 熱ショックタンパク / microRNA / 骨格筋 / 筋分化 / 転写後調節 |
研究概要 |
骨格筋5'AMP-activated protein kinase(AMPK)は糖・脂質代謝を制御する中核分子であるが、近年筋量の調節にも関与していることが指摘されている。そこで本研究では、AMPKが骨格筋量を調節する分子メカニズムを明らかにするために、骨格筋培養細胞を用いた検討を行った。まず分化させた骨格筋培養細胞に対し、AMPK活性化剤である5-aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribonucleoside(AICAR)を添加したところ、タンパク濃度及び筋管細胞直径が非添加群に対して低値を示した。これはAMPK活性化に伴い、筋分化が阻害されることを示している。また、AICAR刺激により、細胞を保護する役割を持つ72 kDa heat shock protein(HSP72)発現が低下するとともに、HSP72発現を抑制する働きを持つmicroRNA-1(miR-1)発現が増加した。以上のAICAR刺激に伴う作用は、siRNAによる遺伝子ノックダウン技術を用いて、AMPKαサブユニット発現を抑制した細胞では起こらなかった。したがって、AMPKは骨格筋において、miR-1発現を増加させること、そしてHSP72発現を低下させることが明らかとなった。また、siRNAを用いてHSP72発現を抑制した細胞でAICAR刺激を行ったが、AMPK活性化に伴う筋分化抑制は起こらなかった。つまり、AMPKはmiR-1を介してHSP72発現を抑制することで、筋分化を抑制する作用を有することが示唆される。以上より、AMPKは骨格筋において、HSP72発現を転写後調節し、HSP72発現の低下を介して筋形成を阻害する働きがあると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
AMPKがHSPs発現を制御することが明らかになったことに加えて、その調節メカニズムがmicroRNAを介した転写後調節によるものであるという、新規性の高い結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は骨格筋培養細胞を用いた検討であったが、生体においてANPKが骨格筋量の調節に重要な役割を担っていることを明らかにするために、来年度は当初の予定通りAMPK活性を低下させたAMPKドミナントネガティブマウスを用いて検討を行う。ただし、計画では筋肥大負荷として電気刺激、温熱負荷を予定していたが、筋の肥大だけでなく、萎縮への影響についても検討するために、マウスに対する後肢懸垂および再荷重負荷処置により筋を萎縮あるいは肥大させ、野生型マウスとの違いを検討することにより、AMPKの骨格筋量調節における役割を明らかにしていく。
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