研究課題/領域番号 |
12J03943
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阿部 友香 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 農業 / 奉公人 / ライフコース |
研究概要 |
本年度は農業奉公の経験者である語り手の発掘に主眼をおき、前年度までの調査協力者からの紹介に基づく聞き取り調査のほか、デイサービスセンターへの定期的な訪問調査を実施した。さらに調査地教育委員会の協力を得て、豊富な資料を入手することができ、研究に進展が見られた。 農業奉公の経験者への直接の聞き取りはあまり実現できなかった。その代わり、150名以上の聞き取り調査の結果、遊佐町の各地域の奉公慣行について把握することができた。'具体的には、年季奉公人と農繁期日雇いについて送り出しと受け入れの明確な対応関係を持つ地域がいくつか判明した。また、わずかではあるが奉公経験者より夜間学校に関する語りを得た。 年度後半は、夜間学校の語りを手掛かりに資料収集を行った。遊佐町歴史民俗学習館にて旧高瀬村の農業補習学校と青年学校の資料中に奉公人の記録を発見し、町教育委員会より閲覧・複写の許可を得る。これら農業補習学校および青年学校の資料より、延べ約2000名のうち330名ほどの奉公人が在籍していたことが判明した。現在、夜間学校に通学していた農業奉公人のデータベースの作成を進めている。 近代以降の農業奉公人研究において一定地域の奉公人の数が数量データとして表された例はないため、データベース化を完了させ分析を進めることで、奉公人研究や家族研究への大きな貢献になると思われる。 また、アウトリーチ活動としては、遊佐町教育委員会の依頼を受け、『遊佐町史』編集委員会に協力員として参加している。2012年12月27日より編集会議に参加しており、3月11日より正式に委嘱された。一部執筆の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、聞き取りデータを中心とした研究計画を立てており、進展は見られるものの期待していた程の成果は得られなかった。しかし、研究対象に関する貴重な資料が思いがけず大量に発見することができ、後半は充実した調査を実施できた。以上より、研究の目的はおおむね順調に達成できているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度末に着手したデータベースの整理と分析を進め、複数の雑誌論文の執筆・投稿を行う。また、これらと並行して定期的な聞き取り調査を引き続き実施し、経験者の語り及び奉公移動の地域的特性について明らかにする。筆者は調査地教育委員会、高齢者施設との打ち合わせを重ねており、聞き取り対象者に対してもデータの取り扱いについて解説の上で調査を実施している。今後も社会調査協会「社会調査倫理綱領」、日本社会学会「日本社会学会倫理綱領」に則り調査・研究を進めていく。
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