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2012 年度 実績報告書

ニホンタンポポとセイヨウタンポポの雑種の進化:戻し交配による局所適応仮説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 12J04061
研究機関九州大学

研究代表者

満行 知花  九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)

キーワード病原体抵抗性遺伝子 / 次世代シーケンサー / Taraxacum platycarpum / Taraxacum officinale / 局所適応
研究概要

24年度は、次世代シーケンサーを使用したニホンタンポポ発現遺伝子のデータ解析と、既に知られているdegenerate primerによるPCR,クローニングによって、タンポポの病原体抵抗性遺伝子(R-gene)の探索を行った。まず、次世代シーケンサーによって3集団、計9個体のニホンタンポポの葉の発現遺伝子の配列決定を行い39,904個のcontig配列が得られた。それらのcontigについて、シロイヌナズナ、レタス(タンポポ亜科でR-geneの研究が進んでいる)との相同性検索を行い、107個の候補R-geneを探索した(blastn,tblastxの合計;1×e^<-20>threshold)。これらの配列からNBS領域内に15ペアのプライマーを設計した。
また、レタスではR-gene(NBSドメイン)を増幅するプライマーが知られている。そのため、既知のプライマーを使用したPCR産物のクローニングによっても、ニホンタンポポ、セイヨウタンポポのR-geneの探索を行った。3つのプライマーのクローニングを試みたが、タンポポで目的の領域が増幅されたのは1つのプライマーのみだった。目的の領域が増幅されたプライマーでは、コントロールであるレタスでは41配列、ニホンタンポポでは36配列、セイヨウタンポポでは49配列がR-geneと高い相同性を示した。
既知のレタスR-geneと、ニホンタンポポの発現遺伝子解析から得られた配列、PCR法によって得られたニホンタンポポ、セイヨウタンポポ、レタスの配列、の計163個の配列についてマルチプルアライメントを行い、629bpについて系統樹を作成した。その結果、contig配列、PCRによる配列ともに、タンポポではRGC4ファミリーの遺伝子が多く得られた。また、レタスの各RGCファミリーにタンポポの配列が含まれていた。そのため各ファミリーはタンポポとレタスが分岐する前から存在したと考えられる。しかし、各ファミリー内のサブファミリーについて見ると、ほとんどがタンポポとレタスで異なるクレードを形成しており、更にニホンタンポポ、セイヨウタンポポ間でも異なるクレードを形成した配列が複数見られた。今後、同様のクローニングを日本3集団のニホンタンポポ、セイヨウタンポポ、雑種について行い、ニホンタンポポが局所的に持っている配列を雑種が取り込んでいるかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

タンポポの病原体抵抗性遺伝子を探索するという目的での実験は順調に進展し、2年次に行う事を計画していたプライマーの設計、クローニングまで行う事が出来た。しかし、論文発表について、タンポポの野外での雑種形成頻度についての研究を原稿をまとめ投稿したが、24年度中に論文として発表する事が出来なかった。

今後の研究の推進方策

タンポポの野外での雑種形成頻度については、25年度春に追加データを取り、夏までに論文を再投稿する。雑種がニホンタンポポの適応的な遺伝子を受け取って急速な進化が起こっているかについては、東京、愛知、福岡で採集したニホンタンポポ、セイヨウタンポポ、雑種と、次世代シーケンサーの解析に用いた個体のPCR,クローニングを行う。ニホンタンポポで地域毎に違いが見られた配列のうち局所適応に関わっている可能性のある候補遺伝子について、セイヨウタンポポ、雑種が遺伝子を共有しているかを明らかにする。夏までにデータを取り終わり、論文にまとめて投稿する。

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公開日: 2014-07-16  

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