研究課題
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの眼疾患は中途失明原因の上位を占める重篤な疾患である。これらの疾患は網膜血管および脈絡膜血管における病的血管新生が中心的病態であり、血管がどのように形成され維持されるのかを研究することがさらなる病態解明と新規制御法開発に重要である。本研究では、成体の各臓器において血管新生の際に中心的な役割を果たす潜在的増殖活性の高い血管内皮細胞を、Hoechst33342を使用したSide population (SP)法により同定した。この血管内皮SP細胞は、成体の各臓器に数%で存在し、潜在的細胞増殖活性を有することがわかった。さらに脈絡膜血管における血管内皮SP細胞は、レーザーを用いた実験的脈絡膜新生血管モデル(加齢黄斑変性症のマウスモデル)で増殖活性を示し血管新生に関与する可能性があることが判明した。さらに、潜在的細胞増殖にかかわる分子の遺伝子制御などにつき検討を行い、血管内皮SP細胞に特異的な分子を同定した。特異的分子に対する抗体を使用しフローサイトメトリーで特異的分子を発現する血管内皮細胞と発現しない血管内皮細胞を回収し培養したところ、特異的分子を発現する血管内皮細胞では増殖活性を示し、これらが血管新生に中心的な役割を果たす血管内皮細胞群である可能性が高いことがわかった。これらの増殖活性の高い血管内皮細胞の生理的意義や眼血管新生疾患との直接的な関連性を研究中であり、今後のさらなる進展により血管新生の新規分子機構の解明や眼血管新生疾患の新規制御法開発が期待される。
(抄録なし)
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