研究課題/領域番号 |
12J04175
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 大樹 北海道大学, 低温科学研究所, 特別研究員(PD)
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キーワード | 海洋 / 海氷 / 二酸化炭素 / 物質循環 / 極域 / ノルウェー / オーストラリア / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究の目的は、冬季海氷域の大気-海氷-海洋間の炭素輸送プロセスを明らかにすることである。そこで本研究では、(1)ノルウェー極地研究所を拠点とした冬季北極海での継続的な観測を実施した。(2)オーストラリア南極局の国際プロジェクトに参加し、南極海の冬季氷上観測を実施した。 (1)ノルウェー極地研究所を拠点とした冬季北極海での継続的な観測 北極海スバールバル諸島テンペルフィヨルドにおいて2012年1月中旬から4月中旬に月1回のペースで氷上観測を実施した。観測サイトでは、海氷上積雪、海氷、海氷下海水を採取した。また、CTDを用い、海氷下海水の温度、塩分を測定した。海氷上積雪、海氷サンプルは、研究室に持ち帰り、融解後、ガラス瓶に入れ、保存した。今後、北海道大学で化学分析(溶存無機炭素、全アルカリ度、溶存メタン、酸素安定同位体比)を実施する予定である。本観測では、氷河融解水が海氷下においてプルーム状に浸透して行く様子を捉えることが出来た。今後、化学分析結果と合わせ、海氷-海水間での炭素輸送プロセスについて研究を進める予定である。 (2)オーストラリア南極局の国際プロジェクトによる南極海の冬季氷上観測 オーストラリア南極局が所有する砕氷船オーロラ・オーストラリスを用いた冬季南極海における海氷観測航海SIPEX2(Sea Ice Physics and Ecosystem eXperiment2)(2012年9-11月)に参加し、氷上観測を実施した。観測サイトでは、(1)と同様の観測項目に加え、CO2フラックスチャンバーによる海氷-大気間のCO2交換量を測定した。今後、海氷-大気間のCO2交換量とサンプルの分析結果を組み合わせ、海氷-大気間での炭素輸送プロセスについて研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの調査では、気候条件の厳しさやプラットフォームの整備が課題となり、冬季の氷上野外観測は実現困難であった。しかし、本研究ではノルウェーやオーストラリアなど海外の研究者と連携し、現場観測を実施することで、不足していた冬季の観測データを得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本観測は、ノルウェー極地研究所、オーストラリア南極局、アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所、国立極地研究所と共同で実施した。今後、各研究所で分析されたデータを合わせて、国内外の研究者と連携し、解析を進める。特に、海氷の成長履歴・種類の違いが、海氷-大気間の物質交換量に与える影響を評価する。これらの結果をまとめ、学会発表、論文投稿する。
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