有性生殖生物において、減数分裂は、遺伝情報の継承に必須のプロセスである。しかし、減数分裂前期における一連の染色体ダイナミクスを支える分子メカニズムには、未知の部分が多い。我々は、セリン/スレオニンフォスファターゼpph-4の変異株において卵細胞の減数分裂前期の染色体ダイナミクスに異常が見られることを発見し、平成26年度は、これまで明らかにしたpph-4変異株の減数分裂前期における表現型を論文としてまとめ、PLOS Genetics誌に発表した。発表論文では、減数分裂前期においてPPH-4が、相同染色体の対合、DNA二重鎖切断と交叉形成に働くことを報告した。さらに、pph-4変異株の表現型のうち、DNA二重鎖切断と交叉形成は、母体の加齢とともに減少し、この結果、pph-4変異株では、加齢とともに正常な卵母細胞の産生が有意に減少する。すなわち、これは、野生株において、PPH-4が、高齢の母体における卵母細胞の産出を助けていることを示しており、PPH-4の加齢効果における役割を明らかにすることができた。
|