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2012 年度 実績報告書

蛋白質三次元空間を利用したクラスター構造体の構築と気体分子の活性化

研究課題

研究課題/領域番号 12J04188
研究機関東京工業大学

研究代表者

田中 裕也  東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードタンパク質結晶 / クラスター / 発光錯体 / 金錯体
研究概要

本研究課題では、三次元的に制御された蛋白質空間を精密クラスター錯体反応場と見なし、蛋白質細孔内で形成する特異なクラスター構造体の構築とその機能開発および気体分子の反応を目指した。初年度は蛋白質空間でのクラスター形成およびその物性制御を行った。蛋白質として、リゾチームとフェリチンを選択し、クラスター構成成分としては、発光性の金(I)錯体を選択した。
グルタルアルデヒドにより架橋安定化したリゾチーム結晶にリン配位子を有する金(I)錯体溶液を浸漬、洗浄することで、金・リゾチーム複合体を得た。この複合体は各原料とは異なる発光スペクトルを示し、金錯体がリゾチーム内のアミノ酸残基と相互作用している事が示唆される。蛍光X線分析の結果、金錯体が細孔内へ導入されていることを確認した。この金・リゾチーム複合体に銅(I)錯体溶液を浸漬したところ、複合体の発光波長が大きく長波長シフトした。このような長波長の発光は銅錯体のみの浸漬では観測されない事から、金と銅の異種金属クラスターが形成されていると考えられる。この金・銅クラスターの発光波長は、金属錯体を浸漬する際に使用する溶媒に依存し、溶媒を使い分ける事で400-550nmの発光波長が自在に制御できる。またリゾチーム結晶は結晶化条件により、多彩な結晶系(正方晶系、斜方晶系)を示し、各結晶系で様々な細孔を形成することが知られている。各結晶系で異種金属クラスター形成を試みたところ、異なる発光変化が観察されたことから、細孔径の形、大きさにより細孔依存的なクラスター構造が形成したと考えられる。
一方、フェリチンを用いた、金属クラスター錯体の形成も試みた。野生型フェリチンとの反応では、金錯体がシステイン選択的に配位することが、X線結晶構造解析の結果から明らかとなった。そこで、種々のシステイン変異体を用いて、金錯体の導入を行ったところ、変異位置に応じた様々な金クラスター集合体が形成した。これら金・フェリチン複合体は、そのクラスター構造に対応した発光を示した。
以上の事から、蛋白質結晶空間が、金属クラスター錯体形成およびその電子構造制御に有効である事が明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 球状タンパク質を足場とする有機金属クラスター錯体の形成と発光機能制御2013

    • 著者名/発表者名
      田中裕也・安部聡・日影達夫・上野隆史
    • 学会等名
      第93回日本化学会年会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      20130322-20130325
  • [学会発表] Metal cluster formations and their functions in the assembled protein cavity2012

    • 著者名/発表者名
      Yuya Tanaka, Satoshi Abe, Takafumi Ueno
    • 学会等名
      The First International Symposium on Biofunctional Chemistry
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20121128-20121130
  • [学会発表] タンパク質結晶空間における金属クラスター構造体の構築2012

    • 著者名/発表者名
      田中裕也・赤井祐貴・田部博康・安部聡・北川進・上野隆史
    • 学会等名
      第62回錯体化学討論会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      20120921-20120923

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公開日: 2014-07-16  

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