研究課題/領域番号 |
12J04191
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大熊 敦史 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | IκB-ζ / シェーグレン症候群 / アポトーシス |
研究概要 |
微生物感染などにより惹起される炎症応答において、転写因子Nuclear Factor(NF)-κBは炎症性サイトカインなどの発現に中心的な役割を果たしている。筆者らのグループによって同定された、グラム陰性菌のリボ多糖(LPS)刺激時に発現誘導され、核内でNF-κBと結合する新規因子IκB-ζ、この1κB-ζ欠損マウスはシェーグレン症候群に類似した自己免疫疾患を発症することを示した。さらに、1κB-ζ欠損マウスが発症するこの自己免疫疾患は、リンパ球の異常ではなく、上皮組織における1κB-ζ欠失に伴う異常が原因であることを明らかにした。シェーグレン症候群は、女性優位に発症する自己免疫疾患であり、潜在的なケースを含めると国内に数十万人の患者がいると推定されている。また、その標的組織は外分泌腺など上皮組織であることがその特徴であり、上皮における1κB-ζの働きを解明することは、autoimmune epithelitis(自己免疫性上皮炎)とも呼ばれるシェーグレン症候群の病因の根本を解き明かすカギとなると考えられる。今回、1κB-ζ欠失に伴う上皮組織の異常として、1κB-ζ欠損マウスの涙腺における過剰なアポトーシスがシェーグレン症候群様の涙腺炎を引き起こしていることを証明した。本研究によって、涙腺における恒常性維持メカニズムの一端を解明したとともに、シェーグレン症候群の新たな発症メカニズムを提唱し、その治療法開発に大きく貢献すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、シェーグレン症候群とアポトーシスの関連性をIκB-ζ欠損マウスをモデルとして示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、IκB-ζがどのようにアポトーシスを抑制しているのか、涙腺におけるIκB-ζの発現維持機構の解明を目指す。
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