研究概要 |
これまでに次世代シーケンサーを用いた骨髄異形成症候群(MDS)の全エクソンシーケンスおよびSNP arrayによるコピー数解析について200例の解析を行った。その中で、コヒーシン複合体関係の遺伝子(STAG2、RAD21、SMC1A、SMC3)、SETBP1、BCOR/BCORL1、RIT1などの遺伝子の変異について同定した(Kon et al., Nat Genet. 2013, Makishima et al., Nat Genet. 2013, Damm et al., Blood 2013, Gomez-Segui et al., Leukemia 2013)。コヒーシン複合体を構成する遺伝子の変異および欠失はMDSでは8%に認められ、変異・欠失のある症例では排他的にみられていて、4つの遺伝子の変異は共通のメカニズムで腫瘍化に関わっていると考えられた。SETBP7変異は予後不良と相関し、二次性の白血病への移行に関係していると考えられた。はさらに以前に我々の研究室で同定したU2AF1, SRSF2, SF3B1, ZRSR2などRNAスプライシング因子も含めて、104遺伝子について標的を絞ったmultiplexed barcoded sequencillgを944症例のMDS検体について行った。その結果、90%近い症例で1個以上の遺伝子変異が同定され、多くの高リスクのMDSや予後不良と相関する遺伝子変異が同定された。さらに、このうち14個の遺伝子を従来から予後予測に用いられていた臨床データと組み合わせることにより、従来のIPSSに比べて正確な予後予測が可能であることを報告した(Haferlach et al., Leukemia 2014)。
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