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2012 年度 実績報告書

C-H結合直接官能基化を利用したポリチオフェンの原子効率に優れた合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12J04223
研究機関神戸大学

研究代表者

丹波 俊輔  神戸大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードポリチオフェン / ニッケル触媒 / クロスカップリング / マグネシウムアミド
研究概要

有機機能性材料として重要であるポリチオフェンの新規な合成法を目的として,より温和なモノマー発生方法の検討を行った。モノマーとしてクロロチオフェンを用い,新規なメタル化反応として既存の化学量論量のアミンを用いるメタル化反応に替え,触媒量のアミンとグリニャール反応剤を用いたメタル化法の開発に成功した。これはアミンの最適化を行うことで室温,2時間という非常に温和な条件下で反応が進行することを見いだした。この反応を利用することでメタル化から重合反応まで全ての過程で室温という温和な条件でポリチオフェンが合成できることを示した。またこの反応を利用し,パラジウム触媒を用いたクロスカップリング及びニッケル触媒を用いた炭素―塩素結合の開裂を伴うカップリングを行うことで,色素増感太陽電池の部分構造を一段階で合成可能である。また実際の重合反応の検討も行った,プロモチオフェン重合の際に既存のニッケル触媒に替え,シクロペンタジエニル基および,N-ヘテロ環状カルベン配位子をもつニッケル錯体を用いると,重量平均分子量が80万を超える,超高分子量のhead-to-tail型ポリチオフェンを合成することが可能となることも示した。この反応の反応機構解析を行うことで,シクロペンタジエニル基の開裂が遅く活性種の生成速度に強く影響されていることを見いだした。またこの反応により得られる高分子量体のポリチオフェンは,今後種々の力学物性等を研究するための貴重な試料となりうると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画上の,触媒量のアミンとグリニャール反応剤を用いた,より温和な条件でのメタル化反応を達成した。
実際のチオフェンの重合反応を行い,既存の方法より温和に合成可能であること,及び新規な触媒を用いた高分子量ポリチオフェンの合成にも成功したことから概ね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

本研究により非常に温和な条件下でメタル化反応の開発に成功した。この知見によりクロロチオフェンに替えスルフォニル基を持つチオフェンモノマーを用いた際により温和にメタル化が進行すると考えている。その時スルフォニル基の隣接基効果により3位のアルキル化もしくはアリール化反応が進行することが考えられる。これは研究計画のチオフェンモノマー3位の直接的官能基化につながり研究課題の達成につながると考えている。
実際の研究計画では,脱離基はメトキシ基を用いることを考えていたが研究計画の遂行を考える上で,またより有用な合成条件の開発のため,今後はメトキシ基に替えスルフォニル基を脱離基として用いたチオフェンの重合反応の検討,また3位置換反応の開発を行うことを考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of high-molecular-weight head-to-tail-type poly(3 -substituted-thiophene)s by cross-coupling polycondensation with CpNiCl(NHC) as a catalyst2013

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Tamba. Kanta Fuji, Hikaru Meguro, Shuji Okamoto, Tadashi Tendo, Ryo Komobuchi, Atsushi Sugie, Takashi Nishino, Atsunori Mori
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 42 ページ: 281-283

    • DOI

      DOI:10.1246/cl.2013.281

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Deprotonative metalation of chlorothiophene with Grignard reagent and catalytic cis-2, 6-dimethylpiperidine under mild conditions2013

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Tamba. Kenji Ide, Keisuke Shono, Atsushi Sugie, Atsunori Mori
    • 雑誌名

      Synlett

      巻: (印刷中)(掲載確定)

    • DOI

      DOI:10.1055/S-0033-1338385

    • 査読あり
  • [学会発表] チオフェン誘導体のC-S結合切断を伴うクロスカップリング重合によるポリチオフェンの新規合成法2013

    • 著者名/発表者名
      丹波俊輔, 中村華綸, 杉江敦司, 森敦紀
    • 学会等名
      日本化学会第93回春季年会
    • 発表場所
      草津市 立命館大学
    • 年月日
      2013-03-22
  • [学会発表] Nickel-Catalyzed Synthesis of Poly(3-alkylthiophene)s via c-s Bond Cleavage2012

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Tamba. Atsushi Sugie, Atsunon Mori
    • 学会等名
      The Twelfth International Kyoto Conference on New Aspect of Organic Chemistry (IKCOC 12)
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2012-11-14
  • [学会発表] ニッケル触媒を用いるチオフェンのC-Hカップリング重合における金属アミドの効果2012

    • 著者名/発表者名
      丹波俊輔, 井手賢治, 杉江敦司, 森 敦紀
    • 学会等名
      第59回有機金属化学討論会
    • 発表場所
      吹田市 大阪大学
    • 年月日
      2012-09-15
  • [学会発表] Effect of NHC ligands on the nickel-catalyzed synthesis of head-to-tail type poly(3-hexylthiophene) by C-H coupling polymerization2012

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Tamba. Keisuke Shono, Kanta Fuji, Atsushi Sugie, Atsunori Mori
    • 学会等名
      International Symposium on Homogeneous Catalysis 2012 (ISHC 2012)
    • 発表場所
      Toulouse, France
    • 年月日
      2012-07-10
  • [備考]

    • URL

      http://www2.kobe-u.ac.jp/~amori/home/publication/list.html

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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