研究課題/領域番号 |
12J04338
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
太田 和惟 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | p進表現 / p進L関数 / p進高さ関数 / 形式群 / オイラー系 |
研究概要 |
整数論においてはp進BSD予想のような、p進L関数と数論的不変量とを結びつける予想の解決が最も重要な課題の一つである。このような予想に現れる不変量の一つとしてp進高さ関数が挙げられる。今年度は、Mazur-Tateによって提唱されたrefinedBSD予想の研究に取り組んだ。この予想ではModular元というある種の関数がp進L関数の役割を果たす。Modular元に対し適当な極限操作を施すことでp進L関数が構成できることが知られている。Mazur-Tateは、(p進)BSD予想のように、Modular元の零点の位数と楕円曲線の階数を結びつける予想、先頭項を数論的不変量で記述する公式、などを定式化した。今年度は前者の、零点の位数と階数を結びつける予想に取り組んだ。 具体的には次のような研究に取り組んだ。Mazur-Tateの予想の定式化後、Darmon氏はModular元をHeegner点で置き換えて、同様の予想を定式化し、さらにその内、零点の位数と階数を結びつける予想に対して顕著な結果を得た。彼の研究で重要な役割を果たすのがHeeger点達がオイラー系をなすことに注目した議論である。 今年度の主な成果はDarmon氏の議論を、加藤和也氏によって構成されたオイラー系(加藤元)に適用したことである。この加藤元に対する議論と、栗原将人氏・小林真一氏・大槻玲氏らによる、加藤元とModular元を関連づける研究をもとに、Modular元の零点の位数と階数の関係を調べた。その結果、Mazur-Tateの予想に対する部分的結果を得られた。 また、p進高さ関数のノルム構成と深い関係があるColemanべき級数論の研究に関しては、投稿中の論文に加筆修正を加えた後に最終的な受理を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Darmonの、Heegner点からなるオイラー系に対する議論を加藤元に適用する研究は順調に進展した。その結果、Mazur-Tateによる(weak) refined予想に貢献できた。DarmonによるHeegner点の議論には現れなかった問題が加藤元の場合には現れ、これを解決すれば満足のいく結果が得られるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
上でも挙げた、Heegner点の場合には現れなかった問題の解決に取り組む。 この解決のためには、より精密なオイラー系の議論が必要になると思われる。 オイラー系に詳しい研究者と議論したり、文献を調べるなどして研究に取り組んでいきたい。
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