研究課題
当初、Belle実験におけるB中間子のレプトン稀崩壊事象の研究を行い、荷電ヒッグスを含む新物理探索を行う予定であったが、緻密な分析の結果、当初行う予定であった解析手法では、感度を十分得ることができないことが判明した。このため、同じく荷電ヒッグスを含む新物理に感度が高い、電弱ペンギン稀崩壊事象を解析することになった。具体的にはB中間子が、sクォーク、プラスの荷電を持つレプトン1つ、マイナスの荷電を持つレプトン1つを含む崩壊事象を解析し、その事象の崩壊分岐比、および崩壊分岐比のレプトン対不変質量依存性を測定した。本解析は、B中間子がsクォークとレプトン対に崩壊する、全ての終状態の崩壊事象を拾いたいため、様々な崩壊モードを信号として解析しなければならない。一部の崩壊モードを信号として取り扱わないと、系統誤差が大きくなってしまう。またあまりにも背景事象の多い崩壊モードを含めてしまうと統計誤差が大きくなってしまう。このため、統計誤差と系統誤差を両方抑えなければならない。私は、モンテカルロシミュレーションにより以前のK、Kπ、K2π、K3π、K4πの崩壊モードに加え、K5π、Kη、3Kに崩壊する崩壊モードも信号として採用し、合計22終状態に関して再構成を行い、その信号再構成効率と純度を計算した。そして、信号の事象でも間違って、再構成する確率も求めた。また、ニューラルネットワークを用いて信号事象と背景事象を分離し、信号事象の信号有意性の最適化を行った。
3: やや遅れている
当初の解析のテーマから外れたため、古いテーマの妥当性を見極め、新しいテーマを見つけ、始めるのに時間が掛かった。今は、信号事象と背景事象の分離し、信号事象の信号有意性の最適化まで行い、遅れを取り戻しつつある。
来年度は、さらなる背景事象の理解、モンテカルロシミュレーションによるフィットを用いた崩壊分岐比の測定、系統誤差の評価を行っていく予定である。
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Journal of Instrumentation
巻: 8
10.1088/1748-0221/8/01/CO1014
Phys. Rev. D
巻: 88
10.1103/Phys.Rev.D.092003