研究概要 |
本年度は、日本において,これまで収集したデータを整理しまとめ,カメルーンの社会福祉に関する文献レビューをおこなった。また、カメルーン共和国における障害者の研究をまとめて,博士論文として執筆した。その内容を、日本文化人類学会・近畿地区研究懇談会博士論文・修士論文発表会(2013年3月30日国立民民族)および、中部アフリカにおける身体とその認識に関する研究会(3月21日静岡県立大学)において口頭発表した。さらに、博士申請論文の序論を、2014年4月刊行予定の日本アフリカ学会編『アフリカ学事典』に「アフリカの人権と障害者」として寄稿した。 本年度11月には、旬報社『世界の社会福祉年鑑(2012年)』の一章に、「カメルーンの社会福祉」として寄稿し、出版された。本論文は、一般読者に向けて、カメルーンの政治、社会、経済の概観、児童福祉・高齢者福祉・障害者福祉・先住民問題の現状、貧困対策などの社会保障制度の概要などを法律文章に照らし合わせて紹介している。 また本年度は、日本貿易振興機構アジア経済研究所の『アフリカの障害者―障害と開発の視点から』研究会の発足に参加した。本研究会は、アフリカの東・西・南部地域での研究の蓄積を基盤に、アフリカ地域における障害と開発の政策と実情を明らかにすることを目的としている。各国での問題点の違いや共通する課題について論じるなかで、政策提言へと繋げることを目指している。2013年4月から研究分担者として、アフリカ中部・西部の障害者とケアについて現地調査を実施することが決まった。 以上、本年度はこれまでの研究成果をまとめ、新たにアジア経済研究所『アフリカの障害者―障害と開発の視点から』研究会を発足できたことによって、来年度以降の具体的な研究計画が明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は,これまでのカメルーンにおける障害者に関する研究成果をまとめて、学位申請論文(博士)として提出した。この論文は、生態人類学的手法を用いた長期間にわたる現地調査にもとづいて、アフリカにおける障害者とそのケアという問題に取り組んだ研究である。これにより,中部アフリカの国家カメルーン共和国および周辺国を事例に,障害者をとおしたアフリカ社会の解明することを試みる本研究課題の目的がより明確になった。また本年度11月には、重要かつ火急の課題であるアフリカ国家の福祉問題に対して、その一例としてカメルーンの社会福祉について詳述した論文を『世界の社会福祉年鑑2012』の一章として出版している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,日本において,これまで収集したデータの整理,および社会福祉に関する文献レビューをおこなった。また,所属機関および研究会において,研究計画を発表し,研究の方向性を議論してきた。以上を踏まえ,2013年度から実施的な現地調査を実施することになった。2013年5月からは,カメルーン共和国において,アフリカ熱帯林における人々と社会組織に関する現地調査を実施する。2013年6月25日から28日にかけて英国のリバプール大学で開催される第10回国際狩猟採集民会議(CHaGS10)で口頭発表することが採択されている。また,2013年8月から9月にかけては,コンゴ民主共和国とカメルーン共和国において,アフリカ中部・西部の障害者とケアについて現地調査を実施する予定である。
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