研究課題/領域番号 |
12J04426
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高野 さやか 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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キーワード | 文化人類学 / 民族誌 / インドネシア |
研究実績の概要 |
本研究は(1)慣習法の概念の形成過程および位置づけの変化の再検討、(2)司法制度の内外における慣習法知識の教育、(3)裁判所におけるローカルな知識についての研究 、という三つの柱を持ち、今年度はこれらのテーマに関連して、国内においての文献調査、在外研究、および国内でのデータの分析を行った。その成果の一部は、国際学会での口頭発表、アメリカ合衆国コーネル大学ロー・スクールで開催されたコロキアム、および単著のかたちで発表した。また関連する書籍についての書評が3件掲載予定である。具体的に行った作業の概要は以下の通りである。 (1)多元的法体制論の理論的展開と現状を中心に、採用後の調査成果の一部を整理し、2014年5月に開催されたInternational Union of Anthropological and Ethnological Societiesの研究大会において”Dealing with dual consequences of legal pluralism: Cases from Indonesia and Japan”として発表した。 (2)2014年9月から11月にかけて、アメリカ合衆国における学際的法研究の中心であるコーネル大学ロー・スクールのClarke Program in East Asian Law and Cultureに滞在し、客員研究員として在外研究を行った。インドネシアにおける慣習法概念の位置づけの歴史的変化を論じるために必要な文献資料が得られたほか、国内では研究の少ない法と人類学、および比較法などの隣接領域における最新の動向について調査が進展した。 (3)2015年2月に、科学研究費(研究成果公開促進費)の助成を受けて、三元社より『ポスト・スハルト期インドネシアの法と社会:裁くことと裁かないことの民族誌』を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は計画通り、先行研究の批判的検討と、前年度得られたデータの分析を進め、あわせてアメリカ合衆国での在外研究を実施した。またその成果は国際学会で発表したほか、日本語での単著として出版され、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成27年度は、研究の完成度を高めるためインドネシアにおける補足調査を行う。帰国後、データの分析・考察を進め、国内および国外に向けて研究成果を公開するため、『文化人類学』Legal and Political Anthropology Reviewなどへの投稿を予定する。
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