研究課題/領域番号 |
12J04437
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
遠藤 春香 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2014-03-31
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キーワード | スーフィー / オスマン朝 / 存在―性論学派 / シャアラーニー / イブン・アラビー / 完全人間 |
研究概要 |
本研究の目的は、16世紀のオスマン朝下エジプトにおいて活躍した法学者兼神秘主義思想家(スーフィー)であるシャアラーニーの思想を、アラビア語の一次資料を用いて分析し、イスラーム思想史上の彼の思想の意義を問うことにある。シャアラーニーは、13世紀に活躍したスーフィーであるイブン・アラビーの学統(イブン・アラビー学派)に連なる人物だと言われてきたが、その具体的思想はこれまで明らかにされてこなかった。本研究の意義は、分析の立ち後れてきたシャアラーニーの神秘主義思想を考察することで、オスマン朝下のイブン・アラビー学派の思想理解に新たな視座をもたらすことにある。 採用二年目の目標は、一次資料を読み込み、研究対象の理解を深めつつ最新の研究成果を発表することであった。そこで5Aの研究会において最新の研究成果を発表し、非常に有益なフィードバックを多くもらうことができた。また夏期には再度海外で資料収集を行い、今後研究を進める上で欠かせない文献(シャアラーニーの写本、および最新の刊本、その他スーフィズム関連の書籍など)を入手することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は5月に最新の研究成果を口頭発表し、今後の研究に関して多くの有益なアドバイスを得ることができた。また夏期には昨年度に続いて海外で文献収集を行い、研究に必要な一次資料や関連書籍を複数入手できた。以上を踏まえ、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究発表で得たフィードバックおよび海外調査で入手した資料をもとに、シャアラーニーの神学的見解についての考察を進める。またシャアラーニーの師にあたる人物の神学思想も検討しつつ、16世紀前後のオスマン朝エジプト社会における神学とスーフィズムの関係にっいて分析を行う。その上で、オスマン朝における存在一性論学派の思想の包括的分析を試みる予定である。
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