研究課題
本研究では、原子核乾板を用いた核物質含有微粒子試料のスクリーニングおよびプルトニウムグレードの事前評価と、共鳴イオン化質量分析法(Resonance Ionization Mass Spectrometry : RIMS)を用いた同位体比分析を組み合わせた、保障措置における環境微粒子試料分析のための迅速分析法の開発を目的としている。平成26年度においては、1.原子核乾板上に設置した粒径1μmの微粒子試料から、2π方向にランダムに記録された飛跡について、光学顕微鏡による撮影時のボケを考慮した断層画像モデルを作成し、読み取り可能な飛跡数について評価し、実験条件と評価可能なプルトニウム含有量について検討を行った。2.RIMSの原子源としてイオンスパッタリングやレーザーアブレーションを用いた時の効率や測定時間を検討し、核物質含有微粒子試料の分析時間が、従来法である表面電離型質量分析法に比べ短縮できる見込みを得た。3.RIMSを用いた超ウラン核種の同位体比分析における高精度・高確度化のため、複数のシステムパラメーターの相関を利用して測定中の揺らぎを補正する逐次補正法の開発・実証を行った。実証実験として、抵抗加熱による安定原子源により試料を原子化し、高繰り返し率チタンサファイアレーザーによる共鳴イオン化と飛行時間型質量分析計による同位体比分析と同時に、レーザー出力、波長、実験室の室温、気圧を同期させて記録し、イオン信号量との相関を求め補正に適用することで、試料にチタンを用いた場合、最大で11.1%の誤差を1.65%に、ジルコニウムを用いた場合では最大で3.02%の誤差を1.18%にまで抑えることが出来た。本補正法は原理的に試料の核種に依らず、また実験においても複数の核種に適用出来たことから、プルトニウムを含む超ウラン核種の分析に適用が可能であると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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JPS Conference Proceedings
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Journal of Nuclear Science and Technology
10.1080/00223131.2015.1038663