研究課題/領域番号 |
12J04500
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
一色 舞子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 日本語 / 韓国語 / 補助動詞 / 動詞連続 / 複合動詞 |
研究概要 |
計画に従って各種資料を選出し、日本語と韓国語の補助動詞の用例をデータとして収集・分析した。日本語に関しては、『岩波古典文学大系』の他、『小学館新編古典文学全集』から各時代を代表する作品を選び、そこから補助動詞構文を抽出し、データとして整理した。また、狂言資料や抄物資料、キリシタン資料などその時代において取り上げるべき資料に関しては、上記の全集等に掲載されていないものも加えて別個に調査を行った。韓国語に関しては、15世紀以降のハングル資料を対象とし、その時代を代表とする作品から補助動詞構文を抽出し、日本語と同様にデータとして整理した。 これまでの研究によって明らかになったことは次の通りである。まず、日本語に関しては、分析対象とする言語形式において、現代語には見られない意味用法が中古語において存在していることが明らかとなり、その存在の発見によって、日本語における補助動詞を含んだ「動詞+動詞」形式の発達やその意味拡張のプロセスの解明に役立つ手がかりを得ることができた。 また、韓国語に関しては、現存している資料の性質上、日本語の場合ほど時代を遡ることはできないが、15世紀の資料において観察される「動詞+動詞」形式のものが、本研究において対象とする補助動詞的なもののほか、「動詞+動詞」があくまで文の構成要素として連接している句的な動詞連続として存在していると思われるものが共存していることが観察された。 この「補助動詞」、「動詞連続」、そして「動詞+動詞」が緊密に結合しているいわゆる「複合動詞」のそれぞれの混在が観察されるのは韓国語のみならず、日本語の場合も同様である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次計画の通り、日本語と韓国語の歴史的資料から分析対象である補助動詞構文を抽出してデータベース化し、それらの時系列に沿った意味拡張について分析した研究成果を、各種学術大会において発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
「補助動詞」、「動詞連続」、そして「動詞+動詞」が緊密に結合しているいわゆる「複合動詞」のそれぞれの混在が観察されるのは韓国語のみならず、日本語の場合も同様である。今後の研究課題としては、日本語と韓国語補助動詞の意味拡張という意味的側面のみならず、両言語における「動詞+動詞」形式の形態統語的な特徴およびその発達過程に関しても分析を進めていく予定である。
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